ラリークロス界のトップドライバーのみならず、スポーツカー耐久やGT、ツーリングカーなどあらゆるジャンルのドライバーが結集した新設ラリークロス選手権『タイタンRXラリークロス・シリーズ』第3戦がポルトガル・モンタリグレで開催され、WTCR世界ツーリングカー・カップ参戦中のトム・コロネルがラリークロスに初挑戦。決勝レースとなるファイナル進出は逃すも「僕はすでに、この競技の魅力に取りつかれている」と、グラベルでのファイトを満喫していた。
フランスのエセを皮切りに、ラリークロスの聖地イギリス・リデンヒルを経て、8月10~11日にポルトガルに上陸した『タイタンRXインターナショナル・ヨーロッパ・シリーズ』。その競技運営はオーストリアの名門ラリークロス・コンストラクターであるMJPレーシングが担当し、彼らの製作したワンメイクフレーム“パンテーラRX6”が使用される新選手権となっている。
この新シリーズにレギュラー参戦するティミー&ケビンのハンセン兄弟や、元GRCレッドブル・グローバル・ラリークロス王者のトーマス“トピ”ヘイキネンらWorldRX世界ラリークロス選手権経験者に加え、WRC世界ラリー選手権参戦経験のあるクレイグ・ブリーン、ERCヨーロッパ・ラリー選手権レディス・トロフィ獲得のタマラ・モリナーロも参戦。
さらにネルソン・ピケJr.やペリー・マッカーシー、オリバー・ウェブらフォーミュラやスポーツカー耐久経験者、そして2013年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権チャンピオンで今季もタイトル争いを展開するアンドリュー・ジョーダンなど、そうそうたるメンバーがエントリーリストに名を連ねている。
この第3戦ポルトガルでは、そのラインアップに地元出身のWRC経験者、アルミンド・アラウージョと、長年に渡りツーリングカー界を代表するスター選手として活躍するコロネルがワイルドカード参戦。とくにコロネルはこれがラリークロス初挑戦ながら、事前テストもなくいきなりの本番に挑むという高いハードルを課されることになった。
しかし初日のラウンド5でマシン特性とコース習熟を果たしたコロネルは、レギュラー参戦組の「献身的な支援」も得て、日曜ラウンド6ではあと少しでセミファイナル進出というところまで、わずか2日の間に脅威のスピードで進化を遂げてみせた。
「本当に気に入った。とてもとても気に入ったよ。そのせいでみんなにはいくつかトラブルを引き起こしてしまったかもしれないけどね」と、ジョークを交えて初体験カテゴリーをふり返ったコロネル。
「すでに僕はラリークロスに熱狂的に取りつかれ始めている。もう全身で面白さを感じることができた。レーシングドライバーとしてワクワクできることがまだあり、とくにグラベルでのドライビングなど学ぶべき領域が明確に示されて、それを改善していく作業は心から楽しかったよ」