地球環境保全の啓蒙と電動モビリティの可能性追求というビジョンを掲げて、2021年にスタートする予定の電動SUVオフロード・シリーズ『Extreme E(エクストリームE)』。その初年度に使用されるEVマシン『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』の本格的テストが実施され、WorldRX世界ラリークロス選手権でチャンピオンを争うティミー&ケビン・ハンセン兄弟と、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で史上初の女性ウイナーに輝いたミカエラ・アーリン-コチュリンスキーがステアリングを握った。
電気自動車で争われる新シリーズとなるエクストリームEでは、電動パワートレインや車体の独自開発が認められているが、シリーズ発足初年度に向けてはベースラインとなるワンメイク車両が用意されている。
ABBフォーミュラE選手権にも参画したスパーク・レーシング・テクノロジーが設計・製造を担当したオデッセイ21は、10月第2週にフランス南部の城塞都市カルカッソンヌ近郊にあるテストコース、『シャトー・ド・ラトゥール』に運びこまれ、同車にとって初となる本格的な走行テストが行われた。
このテストでドライビングを担当したのは、世界ラリークロスでシリーズチャンピオンを争い、2019年に創設されたラリークロスの新シリーズ『TitansRX(タイタンRX)』でもタイトル争いを繰り広げるハンセン兄弟と、2019年STCC開幕戦でシリーズ初の女性勝者として歴史にその名を刻んだコチュリンスキーの3名だ。
4日間のスケジュールで実施されたプログラムでは、エクストリームEに登場する予定のあらゆる路面環境に対応すべく、ワンメイクタイヤ・サプライヤーに就任したコンチネンタルとともに、WRC世界ラリー選手権やダカールラリー参戦チームが実際に使用するテスト環境で走行プログラムが進められた。
現在WorldRXでランキング首位をキープするティミー・ハンセンは、この先進的EVオフロードカーのポテンシャルに「深く感銘を受けた」と、そのファーストインプレッションを語った。
「早くも2周目にはプッシュすることができたからね。マシンは軽快かつ機敏で、とても反応が良かった。これだけレスポンシブルだと、フルサイズバッテリー搭載のオフロードカーだとは思わないし、そのサイズを感じさせない」
「4WDで期待されるドリフトモーションも完璧にこなしてくれるし、スライドを止めたければスロットルに触れるだけですぐさまトラクションが得られて、望む動きを作り出せる。僕はもうすでにドライビングシートで快適さを感じているよ」