日本人WRCレギュラードライバーを目指しTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジに参加中の勝田貴元は、10月9~11日にイタリア・サルディニア島で行われたWRC世界ラリー選手権第6戦に参戦。コドライバーのダニエル・バリットとともに『トヨタ・ヤリスWRC』でラリーに臨んだものの、最終日にクラッシュを喫し完走を逃している。
勝田のラリー・イタリア・サルディニア参戦は今回で4度目。しかし、今季のイベントは新型コロナウイルスの影響で、当初の6月から10月に延期されての開催となったほか、R5カーによるWRC2カテゴリーへの参戦となった過去3回とは異なり、WRカーの『ヤリスWRC』での初出場とあって、勝田にとっては新たなチャレンジとなった。
非常に滑りやすい砂がコースを覆うサルディニアのグラベル(未舗装路)ステージは道幅が狭く、立ち木や岩が道のすぐ近くに迫るため、僅かなミスも許されない精度の高いドライビングが求められる。
9月に行われたシーズン第4戦エストニアではWRCトップドライバーに匹敵するスピードを発揮した勝田だったが、サルディニア島のトリッキーなステージはまだ学ぶべきことが多く、競技初日・デイ1の序盤は苦戦を強いられた。
その後徐々にスピードを上げていくも、SS4の低速コーナーでコースオフ。マシンをコースに戻すことができずその時点でデイリタイアとなった。勝田は当時の状況を次のようにふり返った。
「SS4は狭くトリッキーな区間があり、左コーナーで少しラインを外して滑りやすいグラベルに乗ってしまい、続くきつい右コーナーでクルマを止めることができず、ワイドに膨らみ側溝に落ちてしまいました」
クルマを修復し、再出走を果たしたデイ2では1番手スタートを担当。道の表面を覆うルーズグラベルを“掃除”しながらの難しい走行を経験した。
その過程で確かな成長曲線を描いたものの、同日午後のステージではブレーキトラブルが発生してしまう。勝田はこれを自力で修理をしながら残りのステージ最後まで走り抜き、ラリー2日目を完走している。
迎えた最終日は、2本目のSS14で大クラッシュを喫した。幸い勝田とバリットは無事だったものの、横転したクルマは大きなダメージを受けており、リタイアに。今大会で勝田は多くの困難な状況に直面し、良い結果を残すことはできなかった。しかし、改善すべき課題が明確になるなど意義のある1戦となっている。