1月15日、全13日間にわたって争われた第43回ダカールラリー2021がゴールを迎えた。4台のトヨタ・ハイラックスを投入してこの過酷なラリーに挑んだTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が最終ステージまで優勝を争い同ステージ2番手、総合2位という成績でフィニッシュした。また、チームメイトのジニエル・ドゥビリエ/アレックス・ハロ組も苦戦を強いられながら総合8位でラリーを走破。TGRのハイラックスは2台がトップ10フィニッシュを果たしている。
中東サウジアラビアを舞台に全12ステージ、約4400kmの競技区間(SS)で争われた2021年のダカールラリー。2年ぶり、2度目の総合優勝を目指してこのラリーに参戦したTGRでは、チームのエースであるアル-アティヤがラリー序盤から上位に進出し、ライバル陣営のドライバーたちと優勝争いを繰り広げていく。
2019年王者であるこのカタール人ドライバーは今大会、3ステージ連続を含む計5回のSS優勝を達成。僚友ドゥビリエやプライベーターも含めると、トヨタ・ハイラックスは全12ステージ中8つのステージで優勝を飾り、そのスピードを発揮した。
しかしその一方、今大会ではロードブックのルール改正があったことでナビゲーションの難易度が上昇したほか、タイヤのトラブルが相次ぎトヨタ勢もこれらに苦戦することに。ステージ5では、ルーキーながら総合4番手につけ好調をアピールしていたヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が走行ラインを外して転倒。ラテガンが肩を負傷しリタイアを余儀なくされる。
総合8位フィニッシュとなったドゥビリエは毎日のようにパンクに見舞われるだけでなく、首に痛みが出るなどフィジカル面でのトラブルも発生したが、彼はベテランらしい粘りの走りでタイムロスを最小限に留めた。
シャミア・バリアワ/デニス・マーフィ組は、ラリー前半はなかなかペースが上がらなかったが、後半戦に入るとコンスタントにトップ20以内でステージを終えることが可能となり、フィニッシュが近づくにつれて徐々にポジションアップ。最終的に総合21位で完走を果たしている。
今大会最多、プロローグを含め6度のステージ優勝を飾ったアル-アティヤは競技3日目に総合2番手に浮上すると、優勝したステファン・ペテランセル(ジョン・クーパー・ワークス・バギー)との一騎打ちに。両者のギャップは一時4分を切るまでに接近したものの終盤にその差が開き、結局そのままの順位で決着。“砂漠の王”ことアル-アティヤは2大会連続で総合2位となった。
総走行距離7646kmにも及んだ過酷なラリーを戦い終えたTGRのグリン・ホール代表は次のように語っている。
「初めにレース中の事故により亡くなられたピエール・シェルパン選手のご家族とご友人に、TOYOTA GAZOO Racingを代表してお悔やみを申し上げます。彼の死はレースを戦うすべての競技者が危険と隣り合わせだということを改めて我々に認識させてくれました。が、彼のスピリットはダカールのようなラリーレイドでの戦いと冒険に挑み続ける競技者の中に生き続けていきます」