WRC世界ラリー選手権において初開催となる北極圏でのイベント、第2戦『アークティック・ラリー・フィンランド』が2月26~28日に行われるのを前に、Mスポーツ・フォード、ヒュンダイ、トヨタの3陣営から今戦に出場するドライバーたちの事前コメントが発表された。
新型コロナウイルスの影響で開催中止となった第2戦スウェーデンの代替イベントとして開催されるWRCアークティック。フィンランド北部のロバニエミを拠点に3日間、計10本のSSで争われる今戦は、その名が示すとおり、一部ステージにおいて北緯66度33分以北の“北極圏”で実施される。
ラリーは豊富な積雪の下、フルスノーコンディションで行われ、全車が2021年から最高峰クラスにコントロールタイヤを供給している、ピレリのスタッド付きタイヤを常時装着することになる。
各チームはこの新しいタイヤでのデータ収集のため、ラリー・モンテカルロ終了後に事前テストを実施。昨年まで使用されていたミシュランとの特性の違いなどを確認済みだ。
また、この第2戦では参戦ドライバーの変更が発表されており、ヒュンダイは3台目のワークスカーをクレイグ・ブリーンがドライブすることを発表した。さらに、オリバー・ソルベルグがヒュンダイ・2C・コンペティションが走らせる2台目のヒュンダイ20クーペWRCに搭乗し、最高峰クラスに初参戦することが明らかにされた。
その一方、トヨタとMスポーツ・フォードのラインアップは開幕戦から継続され、今季テーム・スニネンとマシンを共有するMスポーツのエイドアリアン・フルモーは第2戦でも引き続きWRC2クラスを戦うことになる。
全10本のSSの合計距離は251.08km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は856.05kmに上るアークティック・ラリー・フィンラドは、2月26日(金)にラリー初日・デイ1を迎える。
■Mスポーツ・フォードWRT
●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)
「誰もが今週のイベントである究極のウインターラリー会場を楽しみにしていると思うよ。僕はそれほど多くのスノーラリーの経験がないけれど、それでも出場した時は楽しんでいた。北極圏にいることは、完全に違うレベルのことだね」
「過去数年のチャンピオンシップでは、それほど多くの雪がなかった。でもロバニエミで雪が不足することはない。この経験をとても楽しみにしている。あのような大きな雪だまり(雪壁)をどう使うか、また、雪と氷の上でスタッドタイヤからどうやって最大の性能を引き出すのかを学びたいと思う」
「先週末は丸1日のテストがあり、コンディションをしっかりと把握してウィンターラリーについてできるだけ多くのことを学んだ。でも今週は自分に大きすぎるプレッシャーをかけるつもりはない。このラリーで重要なのは自分たちのラリーに集中することだ。週末の間にペースを改善して、そうすることを楽しむんだ」
●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)
「僕は冬のラリーが本当に好きだけど、北極圏での経験はあまりないんだ。2014年にフィエスタR2で出場したことはあるけれどね。でも幸運なことにミッコ(・マルックラ/コドライバー)は何度もそこへ行ったことがあるから、彼の経験が役に立つことに期待している。先週末はテストもしたので、コンディションと、雪と氷のなかで新タイヤがどう挙動するかということをより理解することができた」
「ほとんどのドライバーにとってこのラリーは初めてのものだ。ステージはスウェーデンよりも幅が狭く、トリッキーな道路なのに、速いラリーになるようだ。路面が凍結すると、溝やバンプがかなり多くなるだろう。これはドライバーとチームにとって、最高のセットアップを見つけるという点では大きな課題になる」
「僕の出走順はかなり有利だが、雪がほこりのように舞うことがあるから、そうなると僕たちにとってはやっかいだ。雪はとても柔らかく、空中に舞うことがある。それがまるでグラベルラリーのように、視界の邪魔になるんだ!」
「しかし、すべてうまくいくことを期待している。僕の目標はできる限り最高の結果を出すことだ。金曜日のステージがもっとも難しいが、そこでは僕たちのスピードを示すことができると思う。特に暗闇のなか、難度が高くトリッキーな場所ではね」