日本のラリー界で才能ある選手を発掘し、支援することを目的に2015年にスタートしたTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加し、2021年シーズンのWRC世界ラリー選手権の最高峰クラスに全戦出場中の勝田貴元が6月24~27日、ケニアで開催されたシリーズ第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』において総合2位表彰台を獲得した。
1月末にモンテカルロで開幕した今シーズンの第5戦までの全イベントで完走を果たし、そのなかで自己最高位を6位から4位へと更新してきた勝田が、この伝統のラリーでもう一段ステップを踏んだ。
2002年以来、19年ぶりにWRCカレンダーに復帰したサファリ・ラリーは、東アフリカのケニアを舞台に争われた。首都ナイロビから北へ約100kmの場所に位置するナイバシャ湖近くにサービスパークが置かれた今大会は、以前のサファリと比較するとコンパクトなイベントとなったが、その難易度は依然として高く、サバンナの柔らかい砂地や森林地帯に設定されたグラベル(未舗装路)ステージは挑戦者たちを苦しめた。
その最たるは競技2日目のデイ2で、この日は最高峰クラスを戦う11台のWRカーの内、4台がデイリタイア、1台がリタイアを喫する荒れ模様に。
そんななか、トヨタ・ヤリスWRCで今戦に臨んだ勝田/ダニエル・バリット組はスピードと安定性のバランスをうまくとることで大きなトラブルを回避。好調なペースを維持し続け、SS7では7度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・オジエとベストタイムを分け合い、総合首位に立つライバルと18.8秒差の総合2番手につけた。
デイ3でも安定したスピードをみせ総合2番手の座を守った勝田。迎えた競技最終日は、トップを走っていたティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)がマシントラブルでリタイアを喫したため、SS15終了時にWRC参戦後初めて総合首位に立った。
その後、表彰台争いを続けていたオジエと総合タイムで並ぶなど優勝をかけた接戦を展開した勝田だったが、SS17で7冠王者に逆転を許しふたたび2番手となる。最終ステージのSS18でもこの順位は変わらず。最終的にはオジエが優勝、勝田はチームメイトに次ぐ総合2位という好結果で過酷なラリーを走破した。
勝田のこれまでのベストリザルトは第4戦ポルトガルと第5戦イタリアで記録した総合4位だった。今回の2位はこれを更新し、自身初めて総合での表彰台を手にする結果となっている。
日本人ラリードライバーがWRCの総合表彰台に立つのは、1994年のサファリ・ラリーで総合2位となった篠塚建次郎(ミツビシ・ランサーエボリューション)以来、実に27年ぶり。まさに歴史的快挙と言えるだろう。
なお、サファリ・ラリーでは1995年にWRCタイトルのかからない大会で、トヨタ・セリカ・ターボ4WDをドライブした藤本吉郎が、同ラリーでの日本人ドライバー初の優勝を果たしている。