7月18日、WRC世界ラリー選手権第7戦エストニア競技最終日、デイ4のSS19~24が行われ、TOYOTA GAZOO Racingのカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)がシリーズ史上最年少で初優勝を飾った。
16日(木)に開幕した今大会は、バルト三国のひとつであるエストニアを舞台に争われる高速グラベル(未舗装路)ラリーだ。WRCイベントとして初開催された2020年の前回大会では、エストニア人ドライバーのオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)が地元ファンの前でシーズン唯一の勝利を挙げている。
今季のラリー・エストニアでも、そのタナクが優勝候補の筆頭に挙げられていた。しかし、2019年王者は競技2日目に3本のタイヤをパンクさせてしまい、スペアタイヤを使い切ってしまったため競技続行が不可能に。デイリタイアを喫し母国ラウンド連覇の夢が遠のいてしまう。
また、前戦ケニアで総合2位表彰台獲得の快挙を果たした勝田貴元も総合3番手につけながらデイ2で姿を消すことになった。リタイア原因はコドライバーのダニエル・バリットが、SS4でのジャンプの着地時に首と背中に痛みを訴えたためで、大事を取ってラリーを中断している。なお検査の結果、バリットの脳や骨に異常はないとのことだ。
そんな波乱に見舞われたラリーでは、初日のSS1でトップタイムをマークしたロバンペラが2日目もラリーをリード。3日目には総合2番手を走るクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)とのギャップを8.5秒から50秒にまで広げている。
晴天に恵まれた最終日は、3つのステージを日中のサービスを挟むことなく2回ずつ走行するスケジュールで競技が進められた。このデイ4を総合首位で迎えたロバンペラはこれまでに築いたマージンを活かしつつ、つねにステージトップ5に入る安定した走りを披露。2番手ブリーンに対して54秒6の大量リードを持って最終ステージへと向かう。
自身初優勝が懸かる大事なステージとなるSS24。最終走者として登場した20歳のフィンランド人ドライバーは、ここでも5番手タイムを記録して無事にフィニッシュ。この瞬間、WRC史上最年少記録の更新と、彼の記念すべきキャリア1勝目が決まった。なお、これまでのレコードはTOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラが持つ22歳313日だったが、ロバンペラは20歳と290日でこれを塗り替えている。