WRC世界ラリー選手権第7戦エストニアが7月15~18日、エストニア第2の都市タルトゥを中心に開催され、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加する勝田貴元はトヨタ・ヤリスWRCで同ラウンドに参戦した。
総合2位表彰台を獲得した第6戦ケニアを含む今季これまで6戦と同様に、コドライバーのダニエル・バリットとともにラリーに挑んだ勝田は、競技2日目に総合3番手につけるも、バリットが首に違和感を覚えたため競技を中断。その後、大事を取ってリタイアを決断している。
今年WRCイベントとして2年連続2度目の開催が実現したラリー・エストニアは、ラリー・フィンランドと似た高速グラベル(未舗装路)ラリーとして知られる1戦だ。しかし、今大会では低速コーナーを含んだテクニカルセクションも増加。一方で従来からの特徴であるクレスト(丘)や大きなジャンプも多く、テクニックと度胸の両方が求められるラウンドとなった。
そんなラリー・エストニアは勝田が得意とするイベントのひとつであり、昨年は最終日にクラッシュを喫したが総合5位以内を走るなど、ヤリスWRCを駆りトップドライバーたちと好バトルを繰り広げた。勝田はその後、経験を着実に積み重ね、速さと安定感をさらに高めてきた。
それは昨年最終戦モンツァで経験した初のステージ優勝をはじめ、今季開幕から続いた6戦全戦入賞と、6位から4位そして前戦ケニアで2位となった自己ベストリザルトの更新などの結果としてきちんと示されている。
迎えた2021年のラリー・エストニア。勝田はシェイクダウンで3番手につけると、本格的なグラベルラリーが始まった16日(金)のSS2では、やや慎重な走りで8番手タイムに留まったが、直後のSS3では5番手タイムを記録して総合順位を5番手に上げてみせる。さらに続くSS4ではステージ3番手タイムを刻み、総合でも3番手に浮上した。
しかし、大きなジャンブが続いたこのステージの終盤、その内のひとつのビッグジャンプの着地時にバリットが強い衝撃を受けてしまう。SS4終了後、勝田はバリットが首に違和感を覚えたことからリエゾン(移動区間)でクルマを止め、助けを呼ぶために競技を中断。その後、大事を取ってラリーからのリタイアを決断した。
彼のバディであるバリットは病院で診察を受け、脳や骨に異常がないことが確認された。しかし、安静が必要との診断を受けている。
「ここエストニアでは、ハイスピードで素晴らしいステージを走ることにとても興奮していました」と勝田は述べた。
「金曜日の朝、最初の2本のステージでは少し慎重になってしまいましたが、徐々に改善していきました。そして、SS4ではいくつかミスはありましたが、タイムはかなり良く、総合3番手に上がり手応えを感じていました」
「しかし、大きなジャンプでコドライバー側から少しハードに着地してしまい、ダンが首に違和感を訴えたので、助けを求めるためにリエゾンで止まることにしました。その時、何よりも気がかりだったのはダンの健康状態でしたが、無事だったのでほっとしました」