レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2021.07.26 12:23
更新日: 2021.07.27 14:05

『アウディRS Q e-tron』が始動。2022年のダカールに挑む電動ラリーカー

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ラリー/WRC | 『アウディRS Q e-tron』が始動。2022年のダカールに挑む電動ラリーカー

 来年1月に開催される2022年のダカールラリーに電動パワートレイン搭載車で挑戦するアウディが、新型ラリーレイドカー『アウディRS Q e-tron』のテストを開始したと発表した。

 既報のとおり、フル電動フォーミュラカーシリーズのABBフォーミュラE世界選手権に参戦しているアウディは、現在行われている2020/2021年シーズンを最後に同チャンピオンシップから退き、活動の場をダカールに移す

 電動化を推し進めるドイツのブランドは“世界一過酷”とも言われるダカールラリーに挑戦するにあたって、走行中に高電圧バッテリーを充電可能な革新的なドライブコンセプトを備えた未来志向のプロトタイプを製作。それが今回初披露されたアウディRS Q e-tronだ。

 すでに最初の走行テストが完了したこの車両は3基のモーターと重さ約370kg、容量約50kWhのバッテリーを搭載した電動車。

 1日最大800kmにも及ぶダカールのステージを走破するためレンジエクステンダー方式が採用され、発電を行うエンジンはDTMドイツ・ツーリングカー選手権で採用されてきたTFSIエンジンが用いられる。この内燃エンジンは、もっとも効率的な4500~6000rpmの範囲で作動し、その燃料消費量はkWhあたり200グラムをはるかに下回るという。

 モータージェネレーターユニット(MGU)は最新のフォーミュラEマシン、アウディe-tron FE07に搭載されている『アウディMGU05』が備わり、前後のアクスルに配置された2基が駆動を担う。システムの最大出力は500kW(約680PS)だ。

 また、3基目のMGUはエネルギーコンバーターの一部として、走行中に高電圧バッテリーを充電するために使用される。アウディが開発したこれらのMGUは、わずかな変更を加えるだけでダカールラリーで使用することが可能となっている。

「バッテリーは、パートナー企業と共同で独自に開発した。私たちエンジニアは、基本的にすべてのコンポーネントに開発の余地が残されていると考えている」と語るのは、アウディスポーツ・モータースポーツプロジェクト開発担当責任者のステファン・ドライヤー。

「しかし、ドライブトレインシステムに関しては、フォーミュラEですでに97%を超えるシステム効率を達成しているので、これ以上の改善の余地はない。だが、バッテリーとエネルギーの管理では状況がまったく異なるんだ」

「これは、eモビリティの開発において、最大の可能性が秘めている分野だ。極めて過酷なダカールラリープロジェクトから得られたノウハウは、将来の市販モデルへとフィードバックされる。いつものように、我々はこのプロジェクトでも市販モデルの開発スタッフと緊密に協力している」

「ダカールラリーは、非常に長い距離で争われる。私たちがやろうとしていることは、まだ誰も挑戦したことがない。これは、電動ドライブトレインにおける究極の挑戦といえるだろう」とアウディスポーツ・ダカールプロジェクト責任者のアンドレアス・ルース
「ダカールラリーは、非常に長い距離で争われる。私たちがやろうとしていることは、まだ誰も挑戦したことがない。これは、電動ドライブトレインにおける究極の挑戦といえるだろう」とアウディスポーツ・ダカールプロジェクト責任者のアンドレアス・ルース
整備やチェックを受けるアウディRS Q e-tron
整備やチェックを受けるアウディRS Q e-tron

■次のページへ:「スケジュールは非常にタイトだが、その分やりがいがある」


関連のニュース