WRC世界ラリー選手権に参戦しているMスポーツ・フォード・ワールド・ラリーチームは10月6日、クレイグ・ブリーンと彼のコドライバーであるポール・ネイグルがチームに加入することを発表した。このアイルランド人のデュオは、同チームが来シーズンデビューさせる新型WRCマシン『フォード・プーマ・ラリー1』の1台をドライブし、2022年と翌23年のシーズンを戦っていくことになる。
イギリスの名門ラリーチームが、ふたたび頂点に戻るための体制を構築しようとしている。31歳のブリーンは過去3シーズンにわたり彼らのライバルチームであるヒュンダイ・モータースポーツからWRCに参戦。フルタイムシートを得られないながらも、少ないチャンスの中で都合4回の表彰台を獲得した。
その内の3回はダニ・ソルドと3台目のヒュンダイi20クーペWRCをシェアするかたちで臨んだ今シーズン中にマークされ、先週末行われたラリー・フィンランドで3位、それ以前に出場した第7戦エストニアと第8戦ベルギーの2ラウンドで連続2位フィニッシュを果たし、現在ドライバー選手権では自己最高のランキング6位につけている。
Mスポーツ・フォードWRTはそんなブリーンのパフォーマンスを高く評価し、来シーズン以降のレギュラードライバーのステータスをオファーした。
これに応じたアイルランド人ドライバーは、2022年から導入される新しいレギュレーションに対応したハイブリッドWRCカーで少なくとも2シーズンを戦うことになるが、彼は数週間前にすでにフォード・プーマ・ラリー1の試乗を終え、名門チームの最新作に感銘を受け、興奮したという。また、今では彼とチームの両方が、可能であると確信している結果と成功をもたらすことに全力を注いでいる。
「ポール(・ネイグル)と一緒にMスポーツ・フォード・ワールド・ラリーチームに参加できることをとてもうれしく、そして誇りに思う。WRCでは多くの紆余曲折があり、長い道のりだったが、今回こうしてモータースポーツ界でもっとも権威のあるブランドのクルマに乗って選手権を戦う“ゴールデンチケット”を手に入れた」と語り、Mスポーツ加入を喜んだブリーン。
「僕のキャリアは『フォード・フィエスタS2000』でSWRCを勝つ前に、ジュニア世界ラリー選手権で優勝した『フォード・フィエスタR2』で始まったから、フォードはいつも僕の心に非常に近いものだった」
「僕はラリーやスポーツのあらゆるニュアンス、特に歴史が好きなんだ。フォードで活躍したアリ・バタネンやハンヌ・ミッコラ、コリン・マクレー、カルロス・サインツといった偉大なドライバーのリストの中に自分の名前が加わるのは名誉なことだが、まだ実感は湧かないね」
「マルコムとリッチ(リチャード・ミルナー)をはじめとするMスポーツチームの皆が、僕たちを信頼してくれたことに身が引き締まる思いだよ。今は“ブルーオーバル”を誇りにチャンピオシップの開幕戦であるモンテカルロのカジノ・スクエアに行くのが本当に待ち遠しい」