プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載した新型ラリーカーで争われる新時代のWRC世界ラリー選手権が1月20~23日、モンテカルロで開幕する。モナコとフランスにまたがって行われる同イベントに先立ち、ラリー1規定車で最高峰クラスを戦うMスポーツ・フォード、ヒュンダイ、トヨタの各陣営から今戦に臨むドライバーたちのコメントが発表されている。
“ラリー1”レギュレーションが採用され、従来のWRカーから一新されたハイブリッドマシンでの戦いとなる2022年のWRC。そのオープニングイベントとなるのは、今年もラリー・モンテカルロだ。ただし、今季のモンテカルロはラリーの中心がフランス南部のギャップからモナコへと移り、2021年大会と比較すると約85%が新しいステージとなる。
各メーカーの新型車両は20日(木)のシェイクダウンから走行を開始し、同日夜に実施されるセレモニアルスタートを経て、夜のチュリニ峠を走るルートを含む計2本のステージで競技をスタートさせる。
翌21日(金)はフランスの山岳地帯に合計6本のSS(スペシャルステージ:競技区間)が設定され、今大会最長のステージ距離を走破していくことになるが、日中のサービスを挟まずに競技が続くため、ニューマシンをドライブする選手たちにとってはチャレンジングな1日となる。また、競技3日目もサービスが受けられないなかで計5本のSSで勝負が繰り広げられる。
ラリー最終日の23日(日)は金曜日のステージに近いアントルヴォーの周辺で2本のステージを各2回走行することになっており、最終SS17はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”となっている。4日間で走行するSSの合計距離は296.03km、リエゾンと呼ばれるSS間やSSとサービスパーク間の移動区間を含めたラリーの総走行距離は1511.47kmとなる予定だ。
■Mスポーツ・フォードWRT
●クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)
「ラリー・モンテカルロに参戦することはつねに何か特別なものがあるが、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームからの参戦となると、夢が叶ったということに他ならない!」
「チームは『フォード・プーマ・ラリー1』の開発と製作に対して膨大な作業を費やしてきたが、このクルマにはそのことが表れている。ハイブリッド車ということも含めて、僕がこれまでドライブしたラリーカーのなかで間違いなく最高のマシンだ」
「ポール(・ネイグル/コドライバー)と僕はこの挑戦を楽しんでいるし、Mスポーツと、フォードとのこれからの1年に本当に期待している」
●ガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)
「2022年のMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームの一員でいることに興奮している。WRCの歴史の中でも、もっとも大きなルール変更を経験することになるからね。チームは新車の開発のために素晴らしい仕事をした。マシンの走行はとても快適だよ」
「ここ数年に比べて、僕たちのマシンの競争力はかなり上がっているはずだと自信を持っている。このクルマがトップに近いところで戦うチャンスを与えてくれるだろうと期待しているんだ」
「2021年シーズンの自分の進歩には満足しているし、2022年に向けてそこから積み重ねていきたいと思っている。昨年は初ステージ優勝まで1秒以内のところまでいった。新パッケージなら間違いなく達成可能なゴールだ。それだけでなく、初表彰台も目指してプッシュしていきたい」
「モンテカルロはつねにトリッキーなラリーであり、チャンピオンシップのオープニングイベントだ。だが、僕はすでに何度かラリーを経験してきたし、新車の感触もとても良いから、この挑戦を楽しみにしている。週末の間にスピードを上げていることが不可欠だ。とくにヨナス(・アンダーソン/コドライバー)と組んで2回目のラリーだからね。『プーマ・ラリー1』へのチーム全員のハードワークに再度感謝したい。モンテでは好結果を出して彼らに報いたい思っているんだ」
●アドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)
「ラリー・モンテカルロではベストを尽くし、マシンの感触をつかんで他のドライバーとのパフォーマンスレベルを把握するつもりだ。モンテカルロはWRCのトップカテゴリーでは初めての経験するラリーとなる。以前、ここではフィエスタ・ラリー2で参戦していたからね」
「当時は初参戦で総合トップ10フィニッシュを飾ったんだ! だから、ここの道路を気に入っている。過去にはかなりのパフォーマンスを発揮できたから、希望を持っているよ」
「ちなみに、誰にとっても新時代ということになるから、マシンの信頼性とドライビングスキルを完璧に合わせる必要がある。そうしてラリーの最後まで優れたパフォーマンスを発揮するんだ。できる限りのベストリザルトを出したいと思っている。何が起きるか分からないからね!」
●セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)
「ダカールラリーで3週間を過ごした後だから景色が劇的に変わったわけだが、ラリー・モンテカルロのスタートは、とくにWRCが新たなハイブリッド時代に入ることもあってとてもエキサイティングだ」
「マルコム(・ウィルソン/Mスポーツ創設者)のチームとコラボレーションできることも誇りに思っている。彼らと仕事をすることについては、僕のキャリアを通して話し合いが行われてきたが、実現には至っていなかった。この素晴らしいイベントにおいて、とうとうそれを可能にしてくれたMスポーツ、フォード・パフォーマンス、レッドブルに感謝したい」
「このラリーについては、他のドライバーと比べると準備が少なかったのは明らかだが、ハイブリッドが搭載された『プーマ・ラリー1』はすぐにとても良い感触がつかめたし、すべてがまとまっている。今週末は、僕の新しいコドライバーであるイザベル(・ガルミッシュ)と、Mスポーツチームの全員と楽しむことを期待しているんだ」