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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2022.02.18 18:11
更新日: 2022.02.19 12:25

【WRC2022年シーズンの楽しみ方】ラリー1規定導入の変化。ハイブリッド化で対トヨタの“下剋上”も

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ラリー/WRC | 【WRC2022年シーズンの楽しみ方】ラリー1規定導入の変化。ハイブリッド化で対トヨタの“下剋上”も

 例年と同様1月下旬に伝統のラリー・モンテカルロで開幕を迎えたWRC世界ラリー選手権は2月24~27日、早くも2022年シーズンの第2ラウンドであるラリー・スウェーデンが開催される。周知のとおり今季のWRCは車両規定が一新され、競技車両にプラグイン・ハイブリッドシステムが導入されている。それにともないスポーティングレギュレーションも大きく変更された。

 そこで本稿では第2戦からでも2022年のラリー観戦を楽しめるよう、あらためて2021年シーズンからの変更点や参戦車両の紹介、各種情報の整理を行っていきたいと思う。今後の観戦に役立ててもらえれば幸いだ。

 まず、はじめに四半世紀続いたWRカー規定に代わる“ラリー1”新レギュレーションが採用されたWRCの2022年シーズンカレンダーを確認してみよう。今季は2021年シーズンから1ラウンド増加し、現時点で開催地未発表の1戦を含む全13戦が予定されている。

 前述のとおり開幕戦モンテカルロはすでに消化済みであるため、残すは12戦。その最後には11月10日から13日にかけて日本で開催される『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』が控えている。豊田スタジアムを拠点に行われるラリージャパン2022では、愛知県と岐阜県の2県6市町にSS(スペシャルステージ)が設定され、同エリア内で競技が行われる予定だ。

■WRC 2022年シーズンスケジュール

Round Date Country Surface
Rd.1 1月20~23日 モンテカルロ ターマック
Rd.2 2月24~27日 スウェーデン スノー
Rd.3 4月21~24日 クロアチア ターマック
Rd.4 5月19~22日 ポルトガル グラベル
Rd.5 6月2~5日 イタリア グラベル
Rd.6 6月23~26日 ケニア グラベル
Rd.7 7月14~17日 エストニア グラベル
Rd.8 8月4~7日 フィンランド グラベル
Rd.9 8月18~21日 ベルギー ターマック
Rd.10 9月8~11日 ギリシャ グラベル
Rd.11 9月29日~10月2日 ニュージーランド グラベル
Rd.12 10月20~23日 スペイン ターマック
Rd.13 11月10~13日 日本 ターマック

【2月18日、イープル・ラリー・ベルギーの開催が決定したため、カレンダーを更新しました】

 今季、競技車両のハイブリッド化が図られたのはWRCの最高峰クラスだ。このカテゴリーでは前年王者のトヨタをはじめ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードという3つのチームが覇を競っており、各チームは2022年シーズンに向けて“ラリー1”と呼ばれる新型車両の開発を進めてきた。

 新しい車両規定を採用するにあたっては必ずしもベースモデルを変更する必要はないが、奇しくも全チームがこのタイミングでベース車両をスイッチしている。トヨタはヤリスからGRヤリス、ヒュンダイはi20クーペから新型i20 Nへ。そしてフォードの支援を受けるMスポーツは、長年使用してきたフィエスタからコンパクトSUVのプーマに切り替えた。

ラリー1カーは共通セーフティセルを装備したパイプレーム構造となり、旧規定と比較して安全性が向上した
ラリー1カーは共通セーフティセルを装備したパイプレーム構造となり、旧規定と比較して安全性が向上した
高価な油圧パドルシフトの廃止にともない、車内にシーケンシャルシフトレバーが復活した
高価な油圧パドルシフトの廃止にともない、車内にシーケンシャルシフトレバーが復活した

 車両についてはこれまでどおり市販車のボディシェルを使用することもできるが、チューブラーフレームを用いて車両を組むことが可能になった。また、スケーリングによってマニュファクチャラー(メーカー)がさまざまなタイプの車種をラリー1のベース車に選ぶことができるようになっている。これらは多くの自動車メーカーを選手権に呼ぶ込むための施策のひとつだ。

 さらに、新規定には車両開発の低コスト化や持続可能性の確保を狙い、フロントのカナードやリヤディフューザーなど過激だったエアロダイナミクスの簡素化やアクティブセンターデフの廃止、ギアボックスの6速油圧パドルシフトから5速シーケンシャルシフトへの変更などが盛り込まれた。このほか、サスペンションストローク量の制限(270mm)、2021年に開発が凍結された直列4気筒直噴ターボエンジンでのP1レーシングが供給する100%持続可能燃料の使用が義務付けられている。

トヨタGRヤリス・ラリー1(上)、トヨタ・ヤリスWRC(下)
トヨタGRヤリス・ラリー1(上)、トヨタ・ヤリスWRC(下)
トヨタGRヤリス・ラリー1(左)、トヨタ・ヤリスWRC(右)
トヨタGRヤリス・ラリー1(左)、トヨタ・ヤリスWRC(右)

トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ヤリスWRC
全長 4225mm 4085mm
全幅 1875mm 1875mm
ホイールベース 2630mm 2511mm
最低重量 1260kg 1190kg
エンジン
形式 直列4気筒直噴ターボ+ハイブリッド 直列4気筒直噴ターボ
排気量 1600cc 1600cc
最高出力 500PS以上 380PS以上
最大トルク 500Nm以上 425Nm以上
ボア×ストローク 83.8mm x 72.5mm 83.8mm x 72.5mm
エアリストリクター φ36.0mm φ36.0mm
トランスミッション
形式 機械式5速シーケンシャルシフト 油圧式6速パドルシフト
駆動方式 4WD 4WD
デファレンシャル 機械式デファレンシャルx2 機械式x2、アクティブ・センター・デフ
クラッチ 焼結ツインプレート・クラッチ 焼結ツインプレート・クラッチ
サスペンション
形式(フロント/リヤ) マクファーソン・ストラット マクファーソン・ストラット
ダンパーストローク量 270mm 非公開
ステアリング 油圧式ラック&ピニオン 油圧式ラック&ピニオン
ブレーキ仕様(グラベル) φ300mm φ300mm(空冷および水冷)
ブレーキ仕様(ターマック) φ370mm φ370mm(空冷および水冷)
ホイール OZ Racing OZ Racing

ヒュンダイi20 Nラリー1(上)、ヒュンダイi20クーペWRC(下)
ヒュンダイi20 Nラリー1(上)、ヒュンダイi20クーペWRC(下)
ヒュンダイi20 Nラリー1(左)、ヒュンダイi20クーペWRC(右)
ヒュンダイi20 Nラリー1(左)、ヒュンダイi20クーペWRC(右)

ヒュンダイi20 Nラリー1 ヒュンダイi20クーペWRC
全長 4130mm 4100mm
全幅 1875mm 1875mm
ホイールベース 2630mm 2570mm
車両重量 1260kg 1190kg
エンジン
形式 直列4気筒直噴ターボ 直列4気筒直噴ターボ
排気量 1600cc 1600cc
最高出力 385PS/6500rpm 385PS/6500rpm
最大トルク 450Nm/5500rpm 450Nm/5500rpm
ボア×ストローク 83.0mm×73.8mm 83.0mm×73.8mm
エアリストリクター φ36.0mm φ36.0mm
ハイブリッドユニット
最高出力 100kw(約134PS)
最大トルク 180Nm
重量 87kg
トランスミッション
形式 5速機械式シーケンシャル 6速油圧式シーケンシャル
(電子制御セミAT/パドルシフト)
駆動方式 4WD 4WD
デファレンシャル 機械式(フロント/リヤ) 機械式(フロント/リヤ)、アクティブ(センター)
サスペンション
形式(フロント/リヤ) マクファーソン・ストラット マクファーソン・ストラット
ブレーキ仕様(グラベル) φ300mmベンチレーテッドディスク/空冷4ポッドキャリパー φ300mmベンチレーテッドディスク/4ポッドキャリパー
ブレーキ仕様(ターマック) φ370mmベンチレーテッドディスク/空冷4ポッドキャリパー 前:φ370mmベンチレーテッドディスク/4ポッドキャリパー
後:φ355mmベンチレーテッドディスク/4ポッドキャリパー
ホイール OZ Racing OZ Racing

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