FIA国際自動車連盟のインターナショナル・シリーズに昇格し、2022年の“シーズン2”を迎えた電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』が、2月19~20日にサウジアラビアで開幕。サンド・サーフェースを舞台とする『Desert X Prix in NEOM』が開催された。
今回からシングルカーの2ラップ計測に変更された予選ヒートでは、ルイス・ハミルトン創設のX44から参戦するセバスチャン・ローブ/クリスティーナ・グティエレス組が初年度から続く最速の座を維持し、シリーズでの“予選セッション100%制覇”記録を継続。
そして新規参戦のマクラーレンXEが敗者復活の“クレイジーレース”ヒートを勝ち上がり、デビュー戦でファイナル進出を果たすも、赤旗掲出の引き金となる波乱を巻き起こす。そんな展開に乗じて逆転を決めたのが、ニコ・ ロズベルグ率いる初代王者ロズベルグ・Xレーシング(RXR)のヨハン・クリストファーソン/ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー組で、新生スウェーデン・ペアのRXRが初年度に続く開幕戦連覇を決めた。
また2022年開幕戦実施に先立ち、シリーズを率いるアレハンドロ・アガグCEOは2024年に向け、水素を動力源とするオフロード・シリーズ、その名も『Extreme H(エクストリームH)』の新プロジェクトを発表している。
サウジアラビア政府が同国北西部の砂漠地帯で計画する新たな産業都市、スマートシティ構想『NEOM』プロジェクトが推進される地で、ワンメイクSUVによる電動オフロード選手権2年目のシーズンが開幕。そのイベントを前に、直近にもイギリスの『オートスポーツ・アワード2022』で“パイオニアリング&イノベーション・アワード”を受賞したシリーズCEOのアガグは、現状使用されているワンメイク車両『オデッセイ21』のパワートレインとシャシーを流用し、既存のバッテリーを代替し水素燃料電池を主要なエネルギー源としたエクストリームHの計画をアナウンスした。
「モビリティの革新と環境ソリューションのテストベッドとして設計されたエクストリームEは、今後に向け水素シリーズとして発展を遂げることが必然なんだ。それこそが気候変動問題と戦うモータースポーツで、新技術の可能性を紹介する我々の使命であり、自然な進化の帰結だ」と、新プロジェクトの狙いを語ったアガグCEO。
「現在の参戦チームとともに、水素を動力源とする車両をレース週末に統合するための最良の方法を、今後数カ月以内にも決定するつもりだ。水素への完全な移行か、またはジョイントレースによる別カテゴリーとして併催するか、すべての選択肢がテーブルの上にある」
このエクストリームH車両は2022年を通じて開発作業が続けられ、2023年初頭にはラウンチを予定する。シェイクダウンから信頼性確認のテストを経て、2024年のシリーズ開始を目指している。