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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2022.06.27 18:23
更新日: 2022.06.27 18:41

勝田貴元、伝統のWRCサファリで2年連続の表彰台獲得「問題も発生したが、クルマがとても強かった」

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ラリー/WRC | 勝田貴元、伝統のWRCサファリで2年連続の表彰台獲得「問題も発生したが、クルマがとても強かった」

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、6月23日から26日にかけて、東アフリカのケニアで開催されたWRC世界ラリー選手権第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』に挑み、アーロン・ジョンストンとのペアで総合3位入賞を果たし、同大会で2年連続となるポディウムフィニッシュを飾った。

 勝田がキャリア初のWRC総合表彰台を獲得したのは、1年前のサファリ・ラリーだった。今回、思い出深いラリーにまたひとつ喜びが追加された。

 昨年、19年ぶりにWRCに復活したアフリカ伝統のグラベル(未舗装路)ラリーが、2022年はさらに過酷なコンディションとなって帰ってきた。“フェシュ・フェシュ“と呼ばれる、非常に目の細かい砂が厚く堆積したステージはスタックや視界不良を引き起こし、多くのドライバーがこれに悩まされることになった。
 
 また、それ以外の場所では大きな石が転がり、激しい凹凸や深い穴がある荒れた路面も多く、スピードだけを追求して走るとクルマが大きなダメージを受けてしまうことに。そのため、今大会では通常のラリー以上に速さと耐久性のバランスを見極めたドライビングが要求された。

 勝田/ジョンストン組は本格的なラリーが始まった金曜のデイ2で、ステージ2番手タイムを3度記録する快走をみせ、この日最後のステージを前にして首位を走る前年大会のウイナー、セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と8.6秒差の総合2番手につけていた。

 だが、直後のデイ2最終ステージ(SS7)で、トラブルのためスロー走行していた前走車のダストで視界を奪われ、大幅にタイムを失い4番手に後退してしまう。しかし、その後救済タイムが与えられた勝田は、デイ2終了時点で総合首位に立った僚友カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と14.6秒差の総合2番手で金曜日を終えることとなった。

 翌25日(土)は、オープニングステージでチームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に抜かれ、順位をひとつ落とす。さらに、大きな石が多数転がる荒れた路面のSS10でタイヤにダメージを受けてタイムを失い、雨上がりのぬかるんだコンディションとなった午後の再走ステージ(SS13)でふたたびタイヤを痛めてしまう。

 それでも総合3番手のポジションを守った勝田。彼は迎えた競技最終日には、フィニッシュに向けて確実性の高い走りでラリーを進めていき見事3位で完走。2位表彰台を獲得した昨年のサファリに続き、ふたたびポディウムに立った。この結果、今戦を終えた時点で勝田はドライバーズランキング3番手に順位を上げている。なお、彼のコドライバーのジョンストンにとっては、これがWRC初表彰台となっている。

勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第6戦サファリ・ラリー・ケニア
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第6戦サファリ・ラリー・ケニア

■「貴元は今回のケニアでも、とてもいい戦いをした」と評価したハンニネン

 今戦、トヨタはロバンペラが優勝し、エバンス、勝田、オジエがその後ろに続いたことで、1993年のサファリ・ラリー以来となるワン・ツー・スリー・フォー・フィニッシュを決めた。この偉業達成に貢献した勝田は、素晴らしいクルマを開発してくれたチームに本当に感謝していると述べた。

「本当に大変なラリーウイークでした。避けなければならない大きな石が多くあり、そのために問題が起きたりもしましたが、クルマがとても強かったので、このようないい結果を出すことができました」と語った勝田。

「素晴らしい仕事でクルマを開発してくれたチームに、本当に感謝しています」

「土曜日の午後のステージは、悪天候のせいで信じられないくらい難しいコンディションになり、泥に覆われた路面でどこがグリップするのか分からないような状況でしたが、何とか切り抜けることができました」

「トヨタのために、このような結果を残すことができ、自分としてもうれしいですしアーロン(・ジョンストン)が初めて表彰台を獲得したことも本当に良かったです。彼からは大きなサポートを受けているので、感謝しています」

 TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクターを務めているユホ・ハンニネンは、「昨年と同じように貴元は今回のケニアでも、とてもいい戦いをした」と今ラウンドの戦いぶりを評した。

「土曜日にタイヤにダメージを受けたのはアンラッキーだったが、コンディション変化に対する彼のアプローチはとても成熟したものだった。荒れている路面は着実に走破し、コンディションが良くなったところでプッシュする。それが、このラリーで良い成績を残す上で重要なことなんだ」

「2戦前のラリー・ポルトガルでは、あと一歩のところで表彰台を逃していたので、貴元がふたたび表彰台に立つ姿を見てうれしく思った。また、いい結果を得る上で重要な役割を果たしたアーロンが、初めて表彰台に立ったのも本当にうれしかったよ」

 29年ぶりの快挙を達成したTGRと勝田/ジョンソン組が臨むWRCの次戦第7戦は、東欧のエストニアで開催される『ラリー・エストニア』だ。7月14日から17日にかけて行われる同イベントはハイスピードなグラベルラリーだが、ツイスティでテクニカルなセクションもあるため総合力が求められる。

2021年は勝田がシャンパンファイトの“的”になったが、今年は初ポディウムのアーロン・ジョンストンがチームメイトから集中砲火を受けた。 2022年WRC第6戦サファリ・ラリー・ケニア
2021年は勝田がシャンパンファイトの“的”になったが、今年は初ポディウムのアーロン・ジョンストンがチームメイトから集中砲火を受けた。 2022年WRC第6戦サファリ・ラリー・ケニア


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