2022年よりFIA国際自動車連盟のインターナショナル・シリーズに昇格した電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』第2/3戦“Island X Prix”が、長らくの開催延期を経て7月6~7日と同9~10日にダブルヘッダー戦として開催され、電動『HAMMER(ハマー)』で参戦のチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)カイル・ルデュック/サラ・プライス組が、初戦でライバルの失格騒動にも助けられシリーズ初優勝を達成。
続く第3戦では、ニコ・ ロズベルグ率いる初代王者ロズベルグXレーシング(RXR)のヨハン・クリストファーソン/ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー組が定位置にカムバックし、シリーズ通算5勝目を手にしている。
当初、5月7~8日に予定されていた同地でのイベント開催は、3月末に発生したロシアのウクライナ侵攻により、NATO軍の演習による基地使用の必要性が出たことから急遽の延期が決定し、2月に開催されたサウジアラビアでの開幕戦から約5ヵ月ものインターバルを経ての実施となった。
その第2戦を前に各陣営にも休止期間でさまざまな動きがあり、既報のとおり初年度シーズン1から参戦するエキサイト・エナジー・レーシングは、シリーズの“チャンピオンシップドライバー”を務めてきたDTMドイツ・ツーリングカー選手権2冠のティモ・シャイダーと、ERCヨーロッパ・ラリー選手権“レディス・トロフィー”元王者のタマラ・モリナーロを起用。
さらに元F1王者ジェンソン・バトン率いるJBXEは、豪州出身で初年度シリーズチャンピオンのモリー・テイラーに代わり、開幕戦ではヴェローチェ・レーシングの代打として実戦を経験した21歳の新鋭ヘッダ・ホサスをケビン・ハンセンのペアに据えた。
こうして始まった火曜FP1では、男女デュオ2周の合算タイムで唯一10分切りを果たしたCGRが、40km/h上限のドライバースイッチゾーンで速度超過2秒のペナルティを受けながらも最速となり、続くFP2では約30秒近くも自己ベストを更新。オリジナルフェイスを持つ『No.99 GMCハマーEV』が、シーズン2再開で勢いを見せつける。
一方、シャイダー/モリナーロ組は本格的な実戦参加で波乱に見舞われ、元DTM王者はスイッチゾーン手前でブーストボタンの“ハイパードライブ”を誤作動させ、岩にヒットしてパンク。タイヤ交換とともに乗り代わったモリナーロも、トラック上でクラッシュを喫するなど苦難の船出となる。
各チームともにひさびさの実戦でペナルティ続発のFPを終えると、その混沌は予選にも引き継がれ、2021年のシリーズ創設以降ここまで“予選セッション100%制覇”記録を続けて来たルイス・ハミルトンのX44が、ついに最速の座を明け渡すことに。
そのX44で前半周回を担当したセバスチャン・ローブは、サイドウェイからの着地で右リヤタイヤを破損しボディカウルにもダメージを負うと、クリスティーナ・グティエレスへの交代時に修復作業を強いられることに。
同じくこのセッションでは体調不良でペースの上がらないヴェローチェ・レーシングのランス・ウーリッジや、2022年新規参戦組ネオム・マクラーレン・エクストリームEのタナー・ファウストらも、フロントからの着地で車体を破損してしまう。