9月1日、アウディは2022年のダカールラリーに初参戦した電動駆動プロトタイプ・ラリーレイドカーを第2世代に進化させた『アウディRS Q e-tron E2』を発表した。ボディを刷新するなど先代から大幅な改良が行われたこの新型は、軽量化とエアロダイナミクスが強化が図られている。
カルロス・サインツ、ステファン・ペテランセル、マティアス・エクストロームという3名のドライバーとともに、今年1月にサウジアラビアで開催されたダカールラリーに挑んだアウディ。初参戦ながら3台全車が完走を果たし、計4回のステージ優勝を果たした彼らは、目標とする2023年大会での総合優勝に向けて開発の手を緩めていない。
開発プログラムの第2段階として行われたマシンの改良では、チーフデザイナーのアクセル・レフラーが「先代モデルと共通のボディパーツは一切使用していない」と言うように、その外観は大きく変わり、いかにもエアロダイナミクスを意識した形状となっている。
なかでも特徴的なのは、薄さが際立つボンネットなどのカウル上面部分で、先代と比べると前後に向かってボディが大幅に絞り込まれているのがわかる。また、アウディの社内では“エレファントフット”と呼ばれていたフロントホイール後方からドアへとつながるフェンダーの一部も廃止された。
「砂漠でのラリーにおいても、エアロダイナミクスを過小評価すべきではない」と語るレフラーが担当した新しいボディは、空気抵抗を15パーセント削減することに成功。また、刷新されたボディはエアフローの最適化だけでなく軽量化、それにともなう重心の低下にも寄与している。
「新しいモデルでは、Bピラー左右に装着されていたリヤフードのアンダーフローが廃止され、複合素材の最適化したファブリック層と組み合わせ、改良された“レイアップ”と呼ばれる構造により重量を削減することに成功した」とレフラー。
ダカールラリーT1U規則に属するプロトタイプの重量は、将来的には2000kgではなく2100kgとなるが、先代のRS Q e-tronはこの重量を超過していた。このため第2世代のマシンでは数十kgの軽量化が必要だったという。