先週末、スペインで開催されたWRC世界ラリー選手権第12戦『ラリー・スペイン』で完走を果たした勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、ラリー後のオンライン取材会において、次戦の『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』では序盤からスピードを求めていきたいと述べた。
全13戦で争われる2022年シーズンの終盤戦、2年連続でピュア・ターマック(舗装路)ラリーとして行われたラリー・スペインで、日本人WRCドライバーの勝田は総合7位入賞を果たした。
アーロン・ジョンストンとのコンビで同イベントに出場した勝田は、自身初の母国ラウンドに向け、ターマックでのクルマのフィーリングやセッティングの方向性などを確認しながらラリーを進めていった。その戦いの序盤には降雨によるグリップレベルの変化、インカットの影響、タイヤのパンクといった要因で後れを取ったものの、終盤には優勝を争うドライバーたちと遜色ないスピードを発揮し、ラリージャパンに向けて自信を深めていった。
■実際に走ってみないとわからない
全体的にハイスピードなステージで構成されるWRCスペインと、狭路でスピードレンジも低いと考えられるラリージャパンではSSの性格が大きく異なるとみられている。それでも、得られるものはあったと勝田は言う。
「ステージのタイプは間違いなく日本とは違うと思います」と勝田。
「しかし、根本的なターマックでのドライビングの仕方とか、クルマのセッティングのもって行き方などは、基本的に同じ部分がある思います」
テクニカル・セクションでのクルマの走らせ方や、プッシュの仕方、ステージに合わせたセッティングの仕方の部分は「良い学びになった」という彼は、これらが「間違いなく活きると思います」と付け加えた。
一方、ラリージャパンのSSは初見のステージとなるため、相応の難しさがあることを認めた勝田。実際のところは「レッキ(競技数日前に行われるコースの下見)で見てみないと分からない」という。
今季、史上最年少22歳でドライバーズチャンピオンを獲得したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)のような一部の例外を除き、ラリーでは経験が非常に重要とされ、多くの場合それが強さにつながると考えられている。テクニックの引き出しが増えることでさまざまな状況に対処することができるほか、長年WRCを戦えばそれだけステージを知り、中にはすっかりSSのコースを覚えてしまうこともあるという。そのことのメリットは想像に難くない。
では、反対に誰も経験していない初開催のラリーであればどうか。ここでもやはりドライビングの引き出しの多さは武器になると考えられるが、コースを知るという部分では全員がイコールコンディションとなる。11月に控えるラリージャパンはまさにその状況だ。