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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2023.03.24 15:25
更新日: 2023.03.27 17:33

出力低下と滑るグラベルに苦戦。勝田貴元、初参戦のWRCメキシコは「納得いかない部分も多い」

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ラリー/WRC | 出力低下と滑るグラベルに苦戦。勝田貴元、初参戦のWRCメキシコは「納得いかない部分も多い」

 日本人唯一のWRC世界ラリー選手権フルタイムドライバーとして、今季もラリー・モンテカルロで開幕した2023年シーズンを戦う勝田貴元。コドライバーのアーロン・ジョンストンとともに『トヨタGRヤリス・ラリー1』を駆る彼は、3月16~19日にメキシコ・グアナファト州で開催された第3戦ラリー・メキシコに挑み、初参戦となった同ラリーを総合23位で完走した。イベント後に行われたオンライン取材会に応じた勝田は、コースオフによるデイリタイアもあった今戦について「完全燃焼できたわけではなく、自分自身に納得のいかない部分が多い」と語った。

 勝田の住むフィンランドがこの時期氷点下はるかに下回る気温であるのに対し、中米はメキシコ中央高原に位置するグアナファトは、標高2000メートルを超える高地でありながら日中の気温は30℃前後まで上昇する。約45℃にもなる気温差への対応と、その中で戦うためのトレーニングや暑さ対策などの甲斐もあり、3年ぶりの開催となった過酷なコンディションのラリー・メキシコで、「フィジカル面での問題はなかった」という勝田。その一方で、メキシコ特有の滑りやすい路面と高地であるがゆえのクルマへの影響が、会期中の3月17日に30歳の誕生日を迎えた彼のラリーを困難なものとした。

 勝田は今回、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームの4台目のGRヤリス・ラリー1で自身初のラリー・メキシコに臨んだ。初日のシェイクダウンとふたつのスーパーSSを終えた時点で総合9番手につけた勝田/ジョンストン組は、車内で煙が出るトラブルに見舞われタイムを失いながらも、順位をふたつ上げて本格的なグラベル(未舗装路)ラリーがスタートした金曜午前最後のSS5を迎える。しかし、このステージの約9km地点でコースオフ。幸い両名に怪我はなかったが、このアクシデントによりデイリタイアとなってしまう。

 当時の状況を勝田は次のように振り返った。「ハイスピードセクションのところで、ブレーキングポイントとラインを少し誤りました。ルーズグラブルの上に乗ってしまってから体勢を立て直すのはかなり難しく、直後の右コーナーに対してオーバースピードで入った結果、コースオフしてしまったという感じです」

■アクセルワークでの体勢の立て直しが難しい

 このアクシデントの要因には「楽観的だった」ブレーキタイミングに加えてエンジンの吹けが悪い「高地特有の影響」もあったという。前述のとおり、ラリー・メキシコは標高2000メートルを超え、最高地点は2700メートル以上にも達する高地でのラリーだ。これは低酸素状態にあることを意味し、内燃機関である1.6リットル直噴ターボエンジンは通常のラリーと比較して約20%も出力が低下する。

 エンジン性能の低下は最高出力だけでなく中間領域にも及ぶため、ドライバーがアクセル操作をした際に得られるフィーリングにもレスポンスの悪化というかたちで表れる。それがクルマの向きを変えづらい状況を作り、一度崩れた体勢を立て直すのを困難にしたという。

「エンジンのパワーが低い分、ドライビングしていくうえで非常に余裕ができる部分は非常に多かったです。ベースノートの処理もそうですし、タイミングが多少ゆっくりになるのため、そのあたりはどちらかというと思ったよりも楽になった部分もあったりしました」

「ただ、エンジンのレスポンスが落ちることによって、例えばラインを少し外してしまった時とか、自分が行きたいラインをトレースしたい時にはパワーが足りずにそこへ行けなかったりだとか、そういったことが思っていた以上に多くあったので、そのあたりは想像以上に難しく感じた部分でした」

2020年以来、3年ぶりに開催されたラリー・メキシコは“高温高地”の特殊なラウンドのひとつ。クルマやクルーに厳しいコンディションなだけでなく、路面も滑りやすい。
2020年以来、3年ぶりに開催されたラリー・メキシコは“高温高地”の特殊なラウンドのひとつ。クルマやクルーに厳しいコンディションなだけでな2020年以来、3年ぶりに開催されたラリー・メキシコは“高温高地”の特殊なラウンドのひとつ。クルマやクルーに厳しいコンディションなだけでなく、路面も滑りやすい。く路面も滑りやすい

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