更新日: 2023.07.26 20:48
トライトンの第一印象は「結構走れる」とAXCR初参戦の田口勝彦。ドライバーを成長させる“増岡流”愛のムチ
2022年11月26日、WRC世界ラリー選手権での成功で知られ、かつてパリダカと呼ばれたダカールラリーでも栄冠を勝ち取ったラリーのミツビシが“復活”を果たした。この日、東南アジアのカンボジアでAXCRアジアクロスカントリーラリー2022の競技最終日が行われ、『ミツビシ・トライトン』が総合優勝を飾ったのだ。
あれから7カ月、ミツビシはタイで新型『トライトン』を世界初公開した。ディフェンディングウイナーであるチーム三菱ラリーアートは、完全新設計のピックアップトラックをT1仕様に改造し、大会2連覇を目指してふたたび過酷なラリーに挑む。同チームを率いる増岡浩総監督と、2年目のチームに加入し来月タイとラオスで開催されるAXCR2023で『トライトン』をドライブする田口勝彦が、7月6日に三菱自動車本社で行われた取材会に登場。2023年大会に向けた準備状況や意気込みを語った。
■新車ながら事前の耐久試験でノントラブル
昨季2022年、ミツビシが先代のトライトンで初参戦・初優勝を達成したアジアクロスカントリーラリーは、今年で28回目の開催を数えるアセアン地域最大級のFIA国際自動車連盟公認クロスカントリーラリーだ。2023年大会は8月13日(日)にタイのパッタヤーをスタートして進路を東にとり17日(木)に隣国ラオスへ入国。そして19日(土)に同国のパクセーでフィニッシュを迎える。コースは山岳地帯や密林地帯、泥濘路、川渡りなど変化に富み、これらの難コースの全長は約2000kmにおよぶ。
そんな過酷なラリーで前年の再現を狙うチーム三菱ラリーアートは、9年ぶりに刷新された新型トライトンをベースに開発したT1仕様(改造クロスカントリー車両)計3台を今大会に投入する。このニューモデルは、国内での耐久試験とタイでのテストによって3台で合計2000kmを走破済み。耐久性と信頼性が確認されている。
この段階で大きな手応えを掴んだという増岡総監督は、新型ラリーカーでのテストを次のように振り返った。
「ラフロードをほぼフルスロットルで走り抜けて、3台のクルマで延べ2000kmを超える距離を走りました。新車なので我々でさえスペアパーツが充分に手に入らないような状況だったのですが、本当に今までのトライトンのDNAを継承して主要なトラブルなし。ノントラブルで走ってきて、ラリーに向けて耐久性というものを本当に体感するとともに大きな手応えを掴んできました」
■“2プラス1”から3台体制へ
今年トライトンのラリーカーをドライブするのは、2022年大会ウイナーのチャヤポン・ヨーター、昨年は1回のパンクに泣き総合5位となったリファット・サンガー、そして2度のAPRCアジアパシフィックラリー選手権王者にしてミツビシワークスからWRCへの参戦経験も持つ田口の3名だ。
ミツビシチームは2022年も3台のトライトンを投入したが、そのうちの1台はサポート要員であった。増岡総監督は今季この体系を変更した。
「監督の立場としては、狙うのは1位だけなので誰が勝ってもいい。3人のドライバーに対して平等にチャンスを与えています」と語った同氏は、全員が優勝争いに加わることを期待している。
「我々は3台体制でAXCR2023に臨みます。昨年は2プラス1。2台の競技車に対して1台がサポートを兼ねるという状況だったのですが、今年は3台をラリースペックで作ってですね、とにかくこの3人のドライバーでトップ争いをしてもらいたい、という思いです」