更新日: 2024.04.23 19:50
劇的逆転勝利のトヨタ小林可夢偉「燃料が最後までもつか確信が持てなかった。本当に大変だった」/WECイモラ
4月21日、イタリアのイモラ・サーキットでWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間』レースの決勝が行われ、6番手からスタートしたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の7号車GR010ハイブリッドが逆転で今季初勝利を飾った。
マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリースの駆る7号車は、降雨によりコンディションが大きく変わった難しいレースを、完璧なドライビングと優れた戦略により戦い抜き、19台のハイパーカーによる激戦を制した。また、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車も8番手スタートから順位を上げて5位入賞を果たしている。
■リスタートでデ・フリースが一閃
6番手からスタートした7号車のコンウェイは、1周目から5番手へとポジションアップ。一方8番手スタートのブエミはコース幅が狭く、追い抜きの非常に難しいイモラ・サーキットの洗礼を受け、ポジションキープで序盤の周回を重ねた。
コース上での追い抜きが難しいイモラで、戦略とピット作業によってポジションを上げていったTGRは、2時間を過ぎたところで、7号車は3番手でデ・フリースへとドライバー交代。8号車も5番手で平川へとステアリングを託した。
3番手でコースに復帰したデ・フリースは前を行く2台のフェラーリに激しくプレッシャーをかけ続け、フルコースイエローからのリスタートのタイミングで絶好のダッシュを決めて2番手へと浮上。その直後、首位の51号車フェラーリ499Pがピットインしたことで、7号車が首位に立った。
3時間半が経過したところでコースアウト車両撤去のためバーチャル・セーフティカーが導入されると、各車はピットへ。ここで7号車は可夢偉、8号車はハートレーへと最後のドライバーチェンジを行う。
2台がコースへ復帰してまもなくセーフティカー先導走行へと移行すると、その間に雨が降り始め、路面コンディションが一気にウエットへと変化する。グリーンフラッグが振られるとすぐに2台のGR010ハイブリッドはピットへ向かい、ウエットタイヤへと交換。この早めの判断が功を奏し、可夢偉の7号車は2番手に20秒以上の差をつけての首位に。ハートレーの8号車も3番手に浮上した。
雨が止んでコースが乾くなか、レースが残り1時間となったところで2台のGR010ハイブリッドは最後のピットストップを行い、スリックタイヤへと交換。その少し後にライバル勢も続いて最後のピットへ向かったことで、可夢偉の7号車は2台のポルシェ963を従え首位に返り咲いた。
ハートレーはピットアウト直後、まだ湿っている路面でのタイヤ温度を上げるのに苦しみ、2度にわたってグラベルへとコースオフを喫したが、無事コースへ復帰。タイヤが温まると、ハートレーはその時点でのファステストラップを連発しながら追い上げ4番手へとポジションをアップ、さらに3番手のポルシェに迫った。
しかし、TGRの2台は最終ピットがライバル勢よりもやや早めのタイミングだったため、追加の給油なしで走り切るために、ややペースを落とし燃料をセーブする効率的な走行を強いられることに。
終盤、首位を行く7号車可夢偉は2番手の6号車ポルシェ963からの猛烈な追い上げを受け、最後の30分は1秒差以内での息詰まる首位攻防戦が続いた。
だが可夢偉は見事これをしのぎ切り、トップでチェッカー。TGRと7号車にとってのWECイタリアラウンド2連勝を飾った。8号車のハートレーは、最終ラップにフェラーリ50号車にかわされたが、5位でフィニッシュし貴重なポイント獲得を果たしている。
TGRにとって今季初となったこの勝利により、WECのマニュファクチャラーズ選手権ではポルシェとの差を9ポイントに縮め、また7号車のクルーは、ドライバーズ選手権でトップと16ポイント差の2位となっている。次戦、WECは5月11日(土)にベルギーのスパ・フランコルシャンで行われる。
TGRからWEC第2戦決勝に挑んだ6名のドライバーコメントは、以下のとおりだ。