5月9日、チームの拠点であるドイツ・ケルンから近いベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでWEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間レース』のスターティンググリッドを決定する公式予選が行われた。ハイパーカークラスに参戦しているトヨタ・ガズー・レーシング（TGR）のトヨタGR010ハイブリッドは2台とも一次予選で敗退。8号車が15番手、7号車は16番手から決勝レースにスタートすることとなった。

　9日金曜の午前中に実施された60分間のフリー走行3回目で、5番手と7番手タイムを記録していたトヨタ陣営だったが、予選では「予想外」の苦戦を強いられた。

　FP3で決勝レースに向けたタイヤの評価を行ったTGRは、定刻15時25分から始まった15分間の予選に臨み、マイク・コンウェイ／小林可夢偉／ニック・デ・フリース組の7号車は可夢偉が、セバスチャン・ブエミ／ブレンドン・ハートレー／平川亮組の8号車はハートレーが、それぞれ予選アタックを担当した。

　TGRの両名は、一次予選から上位10台のみが駒を進めることができる二次予選のハイパーポール進出を目指し、ミディアムタイヤを装着したトヨタGR010ハイブリッドでコースイン。可夢偉は最初のアタックで2分01秒911というタイムを記録する。一方、7号車より一周長くタイヤを暖めてからアタックに入ったハートレーは姉妹車のタイムを1000分の3秒上回るタイムをマークした。

　その後もアタックを続けた2台のトヨタGR010ハイブリッドだったが、期待されたタイム更新はならず。いずれの車両も十傑入りが叶わず一次予選での敗退が決定。10日土曜の決勝を8列目の15番手と16番手から開始することが決まった。

　なお注目すべきは、2台が揃ってトップ8に入ったFP3でのタイム、2分01秒259（8号車）と2分01秒714（7号車）を上回ることができなかったことだ。また、今回の予選では昨シーズン、トヨタとマニュファクチャラーズタイトルを争ったポルシェも、全3台の『963』が12番手から14番手に並び一次予選で姿を消している。

「厳しい戦いになっています」と語るのは、8号車の平川だ。「予選は予想外の結果でしたが、レースペースではいい部分があります。また、昨日の練習走行でも複数回のアクシデントがありました。そういった荒れた展開のなかで、しっかりとミスなくゴールすれば前に行けるはずなので、希望を捨てずに頑張りたいと思います」

　中嶋一貴TGR-E副会長も予選後のコメントで平川の意見に同調し、「スパに来るまでにある程度は厳しい状況になるのは予想できましたが、思っていた以上に厳しいというのが実感です。ですが、決勝に向けた準備のなかでは、レースペースは予選順位ほどの差が上位と比べてないのではないか、という予想もあります」と述べた。

「なにより、こういった厳しい状況のなかでチームとしてどういった力を発揮できるか、力を出し切ることができるかというところが、このレースだけでなく、ル・マンやチャンピオンシップに向けても大事になってくると思います。しっかりと6時間レースを最後まで戦い切りたいと思いますし、ここからどこまで順位を上げられるかを楽しみにやっていくしかありません」

　後方8列目のグリッドから6時間レースを開始することになったTGRの2台は、現地14時（日本時間21時）にスタートする決勝でチャンピオンシップポイントを獲得すべく、ドライビング技術やタイヤ戦略といったレース戦術を駆使し、過去8勝を挙げている“第2のホーム”で巻き返しを図る。