11月8日、サクヒールに位置するバーレーン・インターナショナル・サーキットで、2025年WEC世界耐久選手権第8戦『バプコエナジーズ・バーレーン8時間』の決勝レースが行われ、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング)がシーズンの最終ラウンドで今季初優勝を果たした。

 現地14時にスタートした8時間レースの序盤は、前日の予選でフロントロウを独占したトヨタ勢がワン・ツーのまま隊列をリードする。1時間経過後、最初のピットストップでタイヤ交換しなかった8号車トヨタがポールシッターの僚友7号車を一時先行したが、3時間目までに7号車が再逆転する。さらに7番グリッドから順位を上げてきた51号車フェラーリ499Pも8号車をかわして2台のトヨタの間に割り込むかたちとなり、93号車プジョーが上位3台に続く4番手につけた。

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 3番手に順位を落とした8号車は、スタートから2時間57分というところで3度目のピットストップへ。2度目は4輪交換、ここでは左2輪を替えた。このあと各車がルーティンのピット作業を終えると、8号車が51号車フェラーリを逆転し2番手に浮上。7号車を先頭にトヨタがふたたびワン・ツーを築く。

 それからまもなくして、このレース最初の“介入”があった。ジェンソン・バトン駆る38号車キャデラックとターン3で接触した54号車フェラーリ296 GT3がタイヤバリアに激しくクラッシュしたため、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたのだ。このタイミングで007号車アストンマーティンを除く全車が4回目のピットに入っている。

トヨタが好機を見逃さず2年ぶりの1-2達成。フェラーリはダブルタイトル獲得で強さ示す【WEC第8戦決勝後半レポート】
38号車キャデラックと接触した直後、コントロールを失いガードレールに激突した54号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ) 2025年WEC第8戦バーレーン

 レースはVSCからSCへの移行後、残り4時間17分で再開される。リスタートではセバスチャン・ブエミ駆る8号車トヨタが姉妹車をパスして首位に。また、4番手に上がってきていた009号車アストンマーティンも51号車フェラーリを抜いて3番手にポジションアップした。

 アレックス・リベラスがドライブするこのV12エンジン搭載車は、さらにトヨタの2台も相次いでパスし、ついに総合トップへ浮上してみせる。姉妹車の007号車もロス・ガンのドライブで9番手から5番手に順位を上げていたアストンマーティンだったが、5時間目に入ってもまもなく、無情にもトップを走る009号車にドライブスルーペナルティの裁定が下る。直前のVSC中に手順違反があったようで、ペナルティ消化後は5番手でコースに戻ることとなった。

 ペナルティはみたびワン・ツーを築いたトヨタにも。直前5度目のピットストップで平川亮にドライバー交代していた8号車が、ブエミのスティントで黄旗区間での追い越しがあったとしてドライブスルーペナルティを受け、009号車アストンマーティンの後ろに下がった。

 レースの前半戦とは異なり、ストラテジーの差で各車がピットに入るタイミングで順位が激しく入れ替わっていくなか、デ・フリースからステアリングを受け継いだ可夢偉の7号車トヨタは快走を見せ、スタートから5時間後には一時はアストンマーティン勢の後ろに下がっていたものの2番手に再浮上してきた51号車フェラーリに対し、28秒もの大量リードを築く。7号車を“表”としたとき、“裏”のストラテジーで動く50号車フェラーリにも30秒弱の差をつけている。

 その7号車トヨタは、フィニッシュまで残り1時間24分でピットイン。可夢偉からデ・フリースにスイッチし、タイヤを4輪交換してラスト2スティントへ入っていった。対してニクラス・ニールセンのドライブで、スタートから7時間目を2番手で迎えた50号車フェラーリは、残り58分で最後のルーティン作業を完了させた。首位7号車とのギャップは35秒、後続の8号車トヨタは約9秒後方だ。

 7号車が優位なポジションを築くなか、残り52分で15号車BMWがターン11でストップ。これにより2度目のVSCが入ったのは、フェラーリにとって不運だった。このタイミングでピットインした8号車トヨタが最後の給油でVSCの恩恵を受け、3番手から2番手に浮上したためだ。

トヨタが好機を見逃さず2年ぶりの1-2達成。フェラーリはダブルタイトル獲得で強さ示す【WEC第8戦決勝後半レポート】
今季初優勝を果たした7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2025年WEC第8戦バーレーン

 レースはSC移行後に残り32分で再開。7号車はリスタート時に、後続のハイパーカーとの間に大量のバックマーカーを従えるかたちとなったため15秒ほどのリードを保ったまま逃げはじめ、そのままトップでチェッカーフラッグを受けた。

 一方、ふたたびブエミが乗り込んだ8号車は、51号車フェラーリのアレッサンドロ・ピエール・グイディからプレッシャーを受ける。2台の接近戦は残り時間3分のところまで続いたが、最終的には8号車が逃げ切った。この結果、今季ここまで表彰台がなかったトヨタが“復活の勝利”を2023年最終戦バーレーン以来、2年ぶりとなるワン・ツー・フィニッシュで達成している。

 この後方では50号車フェラーリを駆るニールセンが、残り21分で、ドライバーズランキング2位の83号車をパス。姉妹車でランキング首位の51号車を援護するとともに、フェラーリのマニュファクチャラーズタイトルをさらに盤石なものにする走りを見せる。その後、フェラーリ陣営は50号車のトリオをランキング3位に浮上させるため2台のポジション・スワップを指示。これに51号車が応じたことで50号車が総合3位、51号車は4位でのフィニッシュとなった。

 総合5位は、辛くもウィル・スティーブンス駆る12号車キャデラックの猛攻を振り切った83号車フェラーリだ。レース中盤には総合首位を走った009号車アストンマーティンがキャデラックに次ぐ総合7位に入り、同8位となったBMWの後ろに93号車と94号車のプジョー勢が並んでトップ10リザルトを締めくくっている。

 今戦がWECラストレースとなったポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのポルシェ963は、前年のチャンピオンカーである6号車が13位、姉妹車の5号車が14位という結果に終わった。

 今季2025年のチャンピオンシップは、フェラーリが参戦3年目で悲願のマニュファクチャラーズタイトルを獲得する結果に。ドライバーズチャンピオンも、ランキング首位で最終戦に乗り込んできた51号車のアレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組が勝ち取り、跳ね馬がダブルタイトルを手にしている。

表彰台でワン・ツー・フィニッシュの記念撮影を行うトヨタ・ガズー・レーシングのドライバーたち 2025年WEC第8戦バーレーン

 LMGT3クラスはポールシッターの78号車レクサスがトラブルで戦線離脱を余儀なくされるなか、アコーディスASPチームの姉妹車である87号車レクサスRC F GT3(ラズバン・ウンブラレスク/クレメンス・シュミット/ホセ-マリア・ロペス)が奮闘。序盤に一時61号車メルセデスAMG GT3エボに首位を譲るタイミングもあったが、3時間目以降はレースの大部分を支配してみせた。

 特筆すべきは5時間目の後半に、直前のピットストップで61号車に先行を許したあと、約6秒差をシュミットがあっという間に追いつき、追い抜いたシーンだ。また、2度目のVSC/SCからリスタートが切られた最終盤にはマティア・ドルディ駆る27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボからプレッシャー受け、さらにこのライバルをパスしてきた61号車メルセデスがみたびのトップ浮上を狙い87号車の背後についた。

 しかし、87号車のアンカーを任されたロペスは、ドルディにもAMGのマキシム・マルタンにもポジションを譲らずにレクサスを今季2度目の勝利に導いてみせた。最終盤の攻防のあと、0.786秒差で敗れた61号車メルセデスがクラス2位となりWECで初の表彰台に。トップと1.837秒でフィニッシュした27号車アストンマーティンが同3位となっている。

 チャンピオンシップ争いは最後尾に近いグリッドから見事な追い上げを見せ、4位フィニッシュを果たした92号車ポルシェ911 GT3 Rのライアン・ハードウィック/リカルド・ペーラ/リヒャルト・リエツ組がドライバーズチャンピオンに輝き、所属するマンタイ・ファースト・フォームがチームタイトルを獲得した。

 佐藤万璃音組の95号車マクラーレン(ユナイテッド・オートスポーツ)は、序盤は最後尾に沈む苦しい展開のなか、中盤以降はショーン・ゲラエルと佐藤が入賞を争うポジションを走行。最終的にクラス9位入賞でシーズンを締めくくった。

 2026年シーズンの開幕戦となる『カタール1812km』は、ルサイル・インターナショナル・サーキットにて3月28日(土)に行われる予定だ。

LMGT3クラスで今季2勝目を挙げたラズバン・ウンブラレスク/クレメンス・シュミット/ホセ-マリア・ロペス(アコーディスASPチーム/87号車レクサスRC F LMGT3)
トヨタが好機を見逃さず2年ぶりの1-2達成。フェラーリはダブルタイトル獲得で強さ示す【WEC第8戦決勝後半レポート】
LMGT3クラスのチャンピオンシップを制したライアン・ハードウィック/リカルド・ペーラ/リヒャルト・リエツ組(マンタイ・ファースト・フォーム/92号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3)

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