4月14日、イタリアのイモラで行われるWEC世界耐久選手権の公式プレシーズンテスト『プロローグ』。17〜19日にかけて同地で行われる2026年第1戦イモラ6時間レースに向け、各チームは1日のみの走行機会となるプロローグでのテストプログラムに集中している。

 今季初の公式セッションを前にしたイモラのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■カタールに向かっていた機材を途中で引き戻す

 WECに参戦する各チームは4月13日月曜日、エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ・サーキットで、プロローグに向けた準備に全力を注いでいた。この日は断続的な雨の影響を受けるなか、ピットでの設営やトラックウォークが行われた。14日のプロローグ当日も、雨の予報が出ている。

 当初、公式プレシーズンテストは3月にルサイル・インターナショナル・サーキットで、各チームが2日間から参加する1日を選択できる形で開催される予定だった。これは、中東情勢の不安定化により10月下旬に延期されたカタール1812kmレースに先立って行われる予定となっていた。

 2月28日に始まった米国とイスラエルによるイランへの軍事行動開始以前から、多くのチームとシリーズ主催者はすでにカタールに機材を搬入していた。Sportscar365が入手した情報によると、BMWチームWRTは最も迅速に対応したチームのひとつで、すでにカタールに向けて輸送中だった海上輸送貨物をクレタ島で荷揚げし、ヨーロッパ本土行きの別の船に積み替えることができたようだ。

 カタールからの最後の海上輸送貨物は、先週土曜日にイモラのパドックに到着した。これはWECとその物流パートナーであるDHLにとって大きな仕事であった。

メルセデスAMG GT3
61号車メルセデスAMG LMGT3(アイアン・リンクス) 2026年WECプロローグ

■秋の中東連戦の開催可否は夏までに判断

 Sportscar365が入手した情報によると、WECはシーズン最終2戦(10月22~24日予定のカタールと11月5~7日予定のバーレーン)の開催について、遅くとも夏までに最終決定を下す予定だ。

 シリーズは今年も全8戦の開催を改めて表明しており、中東の状況がレース開催に適さない場合、代替会場での開催に向けた緊急対策が講じられているとみられる。

 中東でのレースを予定どおり開催するための重要な条件は、35カ国以上の国籍バリエーションを持つWECパドック関係者全員がカタールとバーレーンへの入国を許可され、かつ安全に渡航できることであると理解されている。

 なお、セバスチャン・ブエミ(カタール)とリヒャルト・リエツ(バーレーン)は、すべてが順調に進めば、今年WEC通算100戦目を達成する最初のドライバーとなる見込みだ。シリーズ自体は昨年、富士6時間耐久レースで100レースを祝っている。

セバスチャン・ブエミ
今年度中にWEC100戦出場を達成することが濃厚なセバスチャン・ブエミ

■ハイパーカーは17台中6台が2名体制で開幕戦へ

 チームWRTの2台のBMW Mハイブリッド V8は、ロングビーチで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のレースと日程が重なるため、今週末はドライバー2名体制で参戦する。

 同チームドリース・ファントール、シェルドン・ファン・デル・リンデ、そしてハーツ・チーム・JOTAのジャック・エイトケンは、ロングビーチでのレース出場を優先している。

 また、アレックス・リンが首の手術のため次の2レースを欠場すること、そして昨年の6時間レースで慣例となったように、ハート・オブ・レーシングのアストンマーティン・ヴァルキリー2台が2ドライバー体制で参戦することから、今週末のハイパーカー参戦17台のうち、3ドライバー体制となるのは11台にとどまっている。

 WEC初参戦となるジェネシス・マグマ・レーシングは、当初、韓国メーカーが短距離レースで2ドライバー体制にするか3ドライバー体制にするか不透明だったものの、GMR-001の初走行では6名全員のドライバーを起用することを決定した。チームは月曜日に集合写真を撮影している。

 金曜日のフリープラクティス1と2で正式にシーズンが開幕するが、これはジェネシスが2024年12月4日にドバイで耐久レース参戦を発表してから499日目となる。

ジェネシスGMR-001
イモラ・サーキットで記念撮影を行うジェネシスGMR-001

■レトロ調カラーリングを8パターン準備?

 WRTの69号車BMW M4 GT3エボは、FIAブロンズドライバーのアンソニー・マッキントッシュによる興味深い企画の一環として、今年のWEC各ラウンドで異なるレトロ調のカラーリングを纏う。

 それぞれのカラーリングはクラシックなBMWのカラーリングをベースにしながらも、チームが「アンソニー・マッキントッシュらしいひねり」と表現する要素が加えられているという。

 今週末のイモラで初披露されるのは、1991年にBMWがDTMでE30 M3に採用した『ティックタック』カラーを彷彿とさせるデザインだ。

BMW M4 GT3
毎戦異なるレトロカラーで2026シーズンを戦う69号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)

■グッドイヤーがハイパーカータイヤの入札へ?

 今月初め、フランスのポール・リカールで行われたタイヤテストには、フェラーリ499P、トヨタTS010ハイブリッド、そしてグッドイヤーのフルカラーリングを施したポルシェ963が参加した。このテストは、グッドイヤーが2030年から2032年までのハイパーカークラスのタイヤサプライヤーとして選定する入札プロセスの一環として行われたものとみられる。

 入札規則に基づき、タイヤメーカーは入札に最適な回答を行うためのデータ収集の機会を申請することができる。入札締め切りは水曜日となっている。WEC最高峰カテゴリーのタイヤ独占供給契約の落札者は、6月12日にル・マンで開催されるACO年次記者会見で発表される予定だ。

2026WEC第1戦イモラ
現在はLMGT3クラスにタイヤを独占供給しているグッドイヤー

 現在LMGT3およびLMP2クラスにタイヤを供給しているグッドイヤー、そして最近IMSAと2035年までの独占タイヤ供給契約を延長したミシュラン以外に、入札に参加するタイヤメーカーがいるかどうかは不明だ。

 Sportscar365は、グッドイヤーのテストに使用された963はプロトン・コンペティションの車両だと考えているが、チーム代表のクリスチャン・リードは、先週末バルセロナで開催されたELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ開幕戦で、テストに参加した車両が自身のチームなのか、それとも自身のチームなのかを尋ねられた際、明言を避けている。

2026WEC第1戦イモラ
2026年からWECハイパーカークラスで使用されるミシュランタイヤは新スペックとなる

■アメリカ人ドライバーの愛国心

 負傷したベン・キーティングの代役として、開幕2レースでTFスポーツの33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rを駆るブレイク・マクドナルドは、プラット・ミラー社製のこのマシンで豊富な経験を積んでイモラに乗り込む。

 彼は昨年DXDTレーシングからGTワールドチャレンジ・アメリカに参戦し、最近ではTFスポーツから2025/26年のアジアン・ル・マン・シリーズに参戦、さらに先週末のELMS開幕戦にも出場している。

 短いレースキャリアの中で他のGT3マシンも試乗してきたマクドナルドは、このマシンで初めて走った瞬間、スポーツカーレースの階段を上っていく上で、このマシンこそが自分の進むべき道だと確信したと語っている。

「何よりもまず、僕は愛国者だ。誇り高きアメリカ人であり、特に今のスポーツカーレース界の状況において、アメリカ製のレーシングカーに乗ることを心から楽しんでいる。ゼネラルモーターズとプラット・ミラーとの関係構築に長年取り組んできたが、アメリカからアジア、ヨーロッパ、そしてWECへと転身していくにあたり、同じメーカーと共に戦いたいと思っていたんだ」

シボレー・コルベットZ06 GT3.R
33号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(TFスポーツ) 2026年WECプロローグ

■フェラーリドライバー、空軍機で空へ

 2月26日、フェラーリのハイパーカー世界選手権優勝ドライバーたちは、イタリアのナショナルアクロバットチーム『フレッチェ・トリコローリ』と合流し、フェラーリ499Pとイタリア空軍のMB-339パン機による地上および空中でのアクティビティを体験した。

 フリウリ州リヴォルト空軍基地の滑走路で、ジェームズ・カラドが51号車フェラーリのハンドルを握り、フライオーバーとアクロバット飛行を披露したほか、チームメイトのアントニオ・フォコ、ニクラス・ニールセン、アレッサンドロ・ピエール・グイディ、アントニオ・ジョビナッツィが軍用ジェット練習機のコクピットに乗り込み、空へと飛び立った。

 トヨタ・レーシングのドライバー、ニック・デ・フリースが、ジェンソン・バトン、ジェイミー・チャドウィックに続き、『ロレックス・アンティモニー』に就任した。これは、ロレックスがWECの公式タイムピースとなって10周年を迎えることを記念するものだ。

「ロレックスはスポーツ、特にモータースポーツにおいて輝かしい歴史を持っている。その伝統に携われることは、僕にとって大きな意味を持つ」とこのオランダ人ドライバーは語っている。

ニック・デ・フリース
7号車トヨタTR010ハイブリッドをドライブするニック・デ・フリース

 14日火曜日に開催される短縮版プロローグでは、2セッションが行われる。セッション1は9時から12時30分まで。セッション2は、14時から18時30分までと、合計8時間のトラックタイムが設けられている。

プジョー9X8
イモラに搬入されたプジョー9X8
2026WEC第1戦イモラ
新たなマシンカラーに合わせた赤のチームウェアでトラックウォークを行うトヨタ・レーシングのクルーたち

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