4月18日に行われたWEC世界耐久選手権第1戦イモラの予選で、2番手と6番手を確保したトヨタ・レーシング。昨年の苦戦を経て、今季はブランドとチーム名を改め、アップデートが投入された『TR010ハイブリッド』で戦うことになるが、その滑り出しは上々なように見える。

 予選から一夜明けた19日の現地時間午前、トヨタはチーム代表兼7号車ドライバーの小林可夢偉、そして8号車をフロントロウに導いた平川亮が出席するリモート形式の会見を実施。今季の車両のフィーリングや、イモラでの様子について、ふたりが詳細を語った。

■「自信を持って行ける」マシンに進化したTR010ハイブリッド

 予選までの戦いぶりを振り返り、可夢偉はまずTR010に投入されたアップデートの効果について言及した。

「去年までのクルマに比べると、かなり戦闘力が上がった。去年、(イモラの)予選で1秒くらいフェラーリに離されていたのが、ポールを獲れるか・獲れないかというところまで来られたのは、素直にクルマがすごく戦闘力を上げたと、チームは感じています」

「平川のアタックも、練習走行での予想以上にいいタイムを出せたということで、まだまだこのクルマはポテンシャルがあるんじゃないかと感じています。このクルマを1年間使うという意味では、非常に楽しみだなと思います」

小林可夢偉
チーム代表と7号車ドライバーを兼任する小林可夢偉

 WEC、およびIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最高峰クラスでは今季、ミシュランが供給するタイヤが新たなスペックへと進化している。可夢偉はこのタイヤについて、「結構、様子が違うな」と感じているといい、今季のハイパーカークラスの戦いのひとつのカギを握りそうだ。

「あまり、デグ(ラデーション。タイヤの劣化に伴うタイムダウン)がないな、と。(4月初旬に再舗装された)もてぎでのスーパーフォーミュラに似たような状態で、そこが今までと違って苦戦しているというか、様子が違う。我々のクルマがどうこうというよりは、タイヤの理解に苦しんでいる部分もあります」

「今回はフェラーリがずっとソフトで走っているなかで、僕らミディアムで行っていたり、今までとは『逆転現象』が起こっている」

 1月のIMSA開幕戦デイトナ24時間から実戦投入されているこのタイヤは、ウォームアップ性能が高いことが一番の特徴として囁かれていたが、可夢偉によれば、昨年仕様と今季仕様を比べると、「同じミディアム同士でも、ちょっと柔らかくなったイメージ」と、全体的にコンパウドをソフト方向に感じる状況があるという。

 ただ、それでいて「絶対的なグリップは下がったのではないかと感じています。ウォームアップ性能が上がったらといって、ピークのグリップが高いかというと、ちょっと違う。結構、理解に苦しんでいる」と、まだまだタイヤの特性を完全に掌握するには至っていない様子だ。

2026WEC第1戦イモラ
2026年からWECハイパーカークラスで使用されるミシュランタイヤは新スペックとなる

 一方の平川は、マシンの進化とともにチームの雰囲気の違いにも言及している。

「ドライバーとしては乗りやすいというか、いろいろな状況でも、自信を持って行ける。去年はフラストレーションが溜まる場面があったりもしましたが、今年はどういった状況でもトップ周辺のタイムで走っていることが多いのはポジティブです」と平川は説明する。

「自分も、クルマとタイヤの使い方が最初は若干ドライビングに合わなかったのですが、最後、予選(ハイパーポール)で合わせ切れて、いいタイムを出せた。100分の1秒差でポールを逃したのは悔しいですけど、最後に全部のタイムを繋げられたのは良かったです。あと、なんといってもチームの雰囲気がすごくいい。自分がいいタイムを記録したことでそういう雰囲気になってくれて、それはすごく嬉しいですね」

 マシンの進化としては、平川も言うように『幅広い状況で、安定して速い』ことが長所になりそうだ。実際には決勝を迎えてみないと分からないが、混走中の空力面の安定性なども、ポジティブな方向に作用している感触があるという。

トヨタTR010ハイブリッド
アップデートが投入され2026シーズンを迎えたトヨタTR010ハイブリッド

■リモートでのエンジニアリング体制も強化

 また、可夢偉によれば、人的リソースにも今季は変化があったそうだ。WECではレギュレーションにより現場で働くスタッフ数に制限があるが、その枠を超えてリモートでサポートするエンジニアリングスタッフを強化したことを可夢偉は示唆している。

「エンジニアは今年、だいぶ強化しました」と可夢偉。

「今季に向けて、そして来シーズンに向けて、このWECの戦い方が変わってきたなということで、我々もアップデートしているという状況に近いです。我々が結構おろそかにしてきた部分を強化していただいた、と言うのが正しいのかな」

「現場はしっかりとレースオペレーションに集中できて、一方でクルマの性能というのは現場に来なくても作れるような体制づくりをやっていて。たとえば解析とかでも、他のクルマのコーナリング速度がどれくらいで、というのが、今まではなかったのですが、セッションごとにできるようになったりしているので、いろいろな意味でレベルを上げている段階ですね」

 19日の日本時間20時にスタートする決勝レースに向けては、雹が降るなど不安定な予報が出ているといい、シーズン初戦から荒れた展開になる可能性もある。TR010ハイブリッドの“初陣”に注目したい。

平川亮
8号車TR010ハイブリッドをドライブする平川亮

本日のレースクイーン

廣川エレナひろかわえれな
2026年 / スーパー耐久
D’stationフレッシュエンジェルズ
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技
    【最難関は最初にやってくる】
    FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年6月号 No.1620

    [特集]新世代F1テクノロジー新解釈
    パワーユニット、エアロ、足まわり
    ──世界一の知恵比べを読み解く

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSU 2026 マフラータオル(DRIVER)

    2,500円