4月19日、イタリアのイモラ・サーキットでWEC世界耐久選手権の2026年第1戦『イモラ6時間レース』の決勝が始まった。現地時間13時(日本時間20時)にスタートが切られた開幕戦は、折り返しとなる3時間が経過した時点で、トヨタ・レーシングの8号車トヨタTR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)がリードしている。
2026年のWECは、ハイパーカークラスに韓国のジェネシスを新たに迎え、アルピーヌA424、BMW MハイブリッドV8、トヨタTR010ハイブリッド、キャデラックVシリーズ.Rが“ジョーカー”を使用したマシンアップデートを投入するなど、さらなる戦いの激化が予想されている。
2026シーズンは当初、3月末にカタールで開幕を迎える予定だったが、中東情勢を受けて10月へと延期。本来は第2戦として予定されていたイモラが開幕ラウンドになるとともに、開幕週の火曜には公式テスト『プロローグ』も、カタールからイモラに場所を移して開催された。
■デビュー戦のニック・キャシディが痛恨のスピン
18日に行われた予選/ハイパーポールでは、51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)がポールポジションを獲得。2番手には平川亮がアタックした8号車トヨタTR010ハイブリッド(トヨタ・レーシング)がつけ、プロローグ〜フリー走行まで続いた昨年王者・フェラーリ勢優位の状況がどう推移していくかが、決勝レースのひとつの見どころとなった。
F1ドライバー、キミ・アントネッリのグリーンフラッグを合図に、12時55分に2周のフォーメーションラップが開始。気温21度/路面温度は35度というドライコンディションだ。13時01分にグリーンライトを迎えた。
ポールポジションの51号車フェラーリはジェームス・カラドがスタートドライバーを務め、トヨタは8号車でブレンドン・ハートレーが2番手から、7号車ではマイク・コンウェイが6番手から、レースを開始した。スタート時のタイヤはミディアムを選択した陣営と、ソフトを選択した陣営に二分されている。
スタート直後にミゲル・モリーナの50号車フェラーリが2番手に浮上。その後ろでは、最初の15分間で35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のフェルディナンド・ハプスブルクがふたつポジションを上げた。
94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)を抜きあぐねていた7号車トヨタのコンウェイが開始50分という早めのタイミングでピットへと向かうと、その5分後から一斉にルーティンのピット作業が開始される。同タイミングでの作業となった8号車トヨタが50号車フェラーリに先行し、グリッドポジションと同じ2番手を取り戻した。
スタートからちょうど1時間が経過したところで、コース上にLMGT3クラスの87号車レクサスRC F GT3がストップしたため、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されると、この間に35号車アルピーヌ、12号車&38号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)ら数台のマシンがピットへと戻り、燃料のトップオフを行った。周回数にして5〜6周分、燃料に余裕ができたことになる。
マシン撤去作業後にVSCからセーフティカー(SC)へと移行し、1時間18分経過時点からレースがリスタート。51号車フェラーリ、8号車トヨタ、50号車フェラーリ、給油作業を行った12号車キャデラック、83号車フェラーリ(AFコルセ)、7号車トヨタと続くトップ6のオーダーだ。
VSC時のピット作業でタイヤも交換していた12号車キャデラックのウィル・スティーブンスは、スタートからのタイヤを継続している50号車フェラーリのモリーナを激しく攻め立て、タンブレロへの進入でこれをパス、3番手へと浮上する。
そして2時間が経過する頃から2度目のルーティンピットのタイミングを迎えると、7号車トヨタはニック・デ・フリースへ、2番手の8号車トヨタは平川亮へとドライバーチェンジ。50号車フェラーリはニクラス・ニールセンへ、首位の51号車フェラーリはアレッサンドロ・ピエール・グイディへとバトンを渡すが、ここで8号車トヨタは2周あとに作業を行った51号車フェラーリの前に出ることに成功、5秒ほどのマージンを手にして実質のトップに躍り出た。
全車のルーティンが終わろうかという頃、12号車キャデラック(3番手)と50号車フェラーリ(6番手)に、イエローフラッグ違反によるドライブスルーペナルティが発出される。直後、ハイパーカーデビューを迎えた93号車プジョーのニック・キャシディがアウトラップでグラベルへスピンオフ。2度目のVSCが導入されると、ここで各車は相次いでピットへと戻り、燃料補給を行った。
2時間33分経過時にリスタートが切られ、2台がドライブスルーペナルティを消化すると、8号車トヨタ、51号車フェラーリ、35号車アルピーヌというトップ3となり、やがて4番手には7号車トヨタが浮上。そこに15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)、ポジションを下げた83号車フェラーリが続くトップ6のオーダーとなった。
平川は、51号車フェラーリから1秒以内のギャップでプッシュを受ける展開となるが、再開後も安定したラップを刻み、レース折り返しとなる3時間をトップのまま迎えた。2度のVSC/SCの影響もあって各車のギャップは比較的少なく、接近戦が随所で続いている。
デビューレースを迎えたジェネシスGMR-001は、開始20分を前に19号車がガレージイン。35分程度の作業ののち、コースへ戻っている。17号車は12番手を走行中だ。
■マクラーレン、BMW、フォードが首位争いに絡む
9車種・18台のFIA GT3規格のマシンで争われるLMGT3クラスでは、昨年までのユナイテッド・オートスポーツからマシンを引き継いだガレージ59の10号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ガレージ59)がポールポジションを獲得し、先頭からスタート。
序盤は2番手・3番手につけるレクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)勢以下、数珠つなぎでレースが進行していったが、やがてレクサス2台は後退し、代わって69号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)のアンソニー・マッキントッシュが2番手に浮上してくる。
1時間弱が経過する頃からルーティンピットが始まると、88号車フォード・マスタングLMGT3(プロトン・コンペティション)がクラス首位に立つ。一方、2番手スタートから上位でレースを進めていた78号車レクサスはガレージへ入れられて長時間の作業に入り、前述のように87号車はコース上でストップしてしまい、レクサス勢にとっては厳しいレースとなってしまった。
VSC/SCが終了すると、69号車BMWのマッキントッシュが88号車フォードのステファノ・ガットゥーゾを攻略し、首位の座を奪い返した。
ブロンズドライバーが役目を終える、2時間経過頃から始まった2度目のルーティンピット後には、10号車マクラーレンが再びクラス首位の座へ。3時間経過時点でもトップを走っており、69号車BMW、33号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(TFスポーツ)が続くトップ3となっている。
レースはここから後半戦へと突入。現地では天気が崩れるという予報も出ているようだ。フィニッシュは現地時間19時(日本時間20日2時)の予定だ。


