4月19日、WEC世界耐久選手権第1戦『イモラ6時間レース』の決勝レースがイモラ・サーキットで行われ、トヨタ・レーシングの8号車トヨタTR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)が総合優勝を果たした。LMGT3はチームWRTの69号車BMW M4 LMGT3(アンソニー・マッキントッシュ/パーカー・トンプソン/ダニエル・ハーパー組)がクラス優勝を飾っている。

■中盤は平川亮、終盤は小林可夢偉の走りが光る

 3月にカタールでの開幕が予定されていた2026年シーズンは、中東情勢の混乱の影響で当初の第1戦が延期となり、これに代わってイモラで新シーズンがスタートすることとなった。

 F1の史上最年少ランキングリーダーであるアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のフラッグ振動を合図に始まったフォーメーションラップを経て、定刻13時にスタートした6時間の決勝レースは、ジェームス・カラド駆る51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)が、スタートで3番手から8号車トヨタをかわして順位を上げた姉妹車50号車フェラーリを引き連れ、ポールポジションから最初の2時間をリードしていく。

 しかし2回目のルーティンピットを終えると、ハートレーのドライブで2番手につけていた8号車トヨタが51号車フェラーリをピットで逆転してトップに浮上する。このあとの中盤戦において、ハートレーから交代した平川が、51号車フェラーリのアレッサンドロ・ピエール・グイディからプレッシャーを受けながらポジションを守ってみせる。

 また6番手スタートだった姉妹車7号車トヨタも、レースの序盤からじわりじわりと順位を上げ、スタートから3時間半後に行われた4回目のピットイン後には8号車トヨタと51号車フェラーリに次ぐ3番手に浮上つけた。

トヨタの改良型マシン『TR010ハイブリッド』がデビューウイン。チームワークでフェラーリを下し節目の50勝達成【WEC第1戦イモラ決勝レポート】
3位表彰台を獲得した7号車トヨタTR010ハイブリッド(トヨタ・レーシング) 2026年WEC開幕戦イモラ

 7号車はさらに5時間目のピットストップでタイヤを替えず、同じタイミングでミディアムタイヤからソフトタイヤに履き替えた51号車フェラーリに対し先行。これでトヨタがワン・ツー体勢を築くことに。

 この頃、一時的に小雨に見舞われたイモラだったが、雨はコースを明確に濡らすには至らず大きな混乱は見られなかった。この間にも2番手に順位を上げた7号車トヨタは、小林可夢偉がアントニオ・ジョビナッツィの猛攻をしのぎ、ブエミ駆る8号車トヨタを逃がす役目を担った。

 その甲斐あり最後のピットストップ前に、首位8号車と2番手7号車のギャップは11秒にまで拡がる。残り50分でのラストピットでタイヤを交換した7号車トヨタは無交換の51号車フェラーリに逆転を許し3番手となったが、姉妹車にとっては可夢偉の粘りはこの上ない勝利へのアシストとなった。

 レースの最終盤は、ブエミが後続とのタイム差をコントロールしながら8号車をフィニッシュへと導き、フェラーリの“ホーム”で行われたトヨタ100戦目のWECレースで、同ブランドにとって通算50回目となる勝利を決めるトップチェッカーを受けた。

 ポールシッターの王者51号車フェラーリは13秒352およばずの2位。可夢偉組7号車がこれに続き、トヨタは先代GR010ハイブリッドから大幅改良を施したTR010ハイブリッドの初陣でワン・スリー・フィニッシュを飾っている。

 最終盤に異なるメーカーのプロトタイプカー3台が争った4位の座は、35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)が確保した。5位は20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)、6位には序盤にドライブスルーペナルティを受けトップ10圏外に落ちていた50号車フェラーリとなっている。

 ハイパーカークラスでは今季唯一の新規参入メーカーである韓国ヒョンデ傘下のジェネシスは、17号車GMR-001ハイブリッドがトップと2周遅れの15位で完走し、姉妹車の19号車も一時ガレージに戻されながら総合29位で初陣を走破してみせた。

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2位となった51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ) 2026年WEC開幕戦イモラ
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ワン・スリー・フィニッシュを喜ぶトヨタ・レーシングのドライバーたち 2026年WEC開幕戦イモラ

■LMGT3:予選トップ3を悪夢が襲う

 今季2026年も9つのブランド、計18台で争われるLMGT3クラスは、ポールスタートから快調にレースをリードしていた10号車マクラーレン720S GT3エボを悲劇が襲う。

 今シーズン、ユナイテッド・オートスポーツからマクラーレンのサービスプロバイダーを受け継いだガレージ59は、WECデビュー戦での初勝利に向けて順調にことを進めていたが、フィニッシュまで残り35分というタイミングでマシントラブルに見舞われた。

 スタートからアンタレス・オー、トーマス・フレミング、マービン・キルヒホーファーという3名のドライバーが順調にバトンをつなぎ、一時は後続に27秒のリードを築き、スタートから5時間時点でも16秒のギャップを持っていた10号車マクラーレン。しかし、トラブルの影響か最後の1時間でその優位性を失い、ついにはスローダウンを余儀なくされる。

 その結局、同車は首位のポジションを失ったばかりか、チェッカー受けることなくクラス13位でレースを終えることとなってしまった。

残り35分でスローダウンし優勝を逃した10号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ガレージ59) 2026年WEC開幕戦イモラ

 この波乱の展開のなか、開幕戦の勝利を手にしたのは4番グリッドからスタートした69号車BMWだった。マッキントッシュ、トンプソン、ハーパーのトリオがドライブしたチームWRTのマシンは、序盤から上位を窺い2時間目には一時トップに浮上した。

 その後は10号車マクラーレンの後塵を拝していたが、クラスリーダーの脱落後ふたたびトップに返り咲くと、最後はニッキー・キャツバーグ駆る33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)の猛攻をしのいだハーパーがトップチェッカーを受けている。

 後方14番グリッドからの追い上げとなった33号車コルベットは、最終盤のバトルの末わずか0.265秒届かずクラス2位となった。3位には同じくトップ10圏外からのスタートとなった王者92号車ポルシェ911 GT3 R(ザ・ベンド・マンタイ)が入った。4位はマンタイのもう一台である91号車ポルシェ、WRTの32号車BMWがトップ5を締めくくっている。

 予選で2番手と3番手につけたレクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)の2台は、序盤に発生したマシントラブルに泣き78号車がクラス14位、87号車はリタイアに終わった。

 WEC世界耐久選手権の次戦となる第2戦はスパ6時間レースだ。ル・マンの“前哨戦”に位置づけられる同イベントは、5月9日(土)にベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催される。

LMGT3でクラス優勝を果たした69号車BMW M4 LMGT3(チームWRT) 2026年WEC開幕戦イモラ

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