トヨタ・レーシングのテクニカルディレクター、デビッド・フローリーは、WEC世界耐久選手権第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースのハイパーポール・シュートアウトに進出できなかったことを「残念」であり、「懸念材料」だと述べた。

 開幕戦イモラでポールポジション獲得にあと一歩まで迫り、完璧な戦略でレースを制したトヨタだが、3週間後のスパで2台のTR010ハイブリッドは苦戦を強いられ、予選で12番手と16番手に終わった。

■2台のセットアップを分けたトヨタ

 フローリーは、スパでの週末は「厳しいものになるだろうと分かっていた」としながらも、トヨタがベルギーで意図的にタイムを落としているという見方を否定し、今年の予選タイムは2025年よりも速かったと指摘した。

「ここ数年、スパは我々にとって得意なコースではない。この傾向は続いている」とフローリーは述べた。

「今日の予選とハイパーポールについては、さまざまな見方がある」

「明らかに残念な結果だし、懸念も生じているが、一方で、我々が実力を温存しているのではないかという見方も出てくるものと想像する。しかし実際には、昨年のハイパーポールと比較すると、この地でラップタイムを更新したメーカーは我々を含めてわずか2社だけだ」

「我々はラップタイムを0.3秒短縮したが、(全車平均は)0.3秒遅かった。全車平均と比較すると、我々は0.6秒速い。これは、我々が実力を隠しているわけではないことを示していると思うが、今後の展開が予測できないという点で、ある種の懸念も抱かせるものだ」

 フローリーは、今年のTR010ハイブリッドの改良によってトヨタはタイム差を縮めることができたと考えているものの、ハイパーポール進出を0.029秒差で逃した小林可夢偉の7号車は、完璧なラップを刻んだとしてもせいぜい0.1秒しかタイムを縮められなかっただろうと述べている。

 また、トヨタがパフォーマンス不足を補うために2台のマシンで異なるセッティングを採用したとフローリーは説明した。

「マシンのセッティングに関しては、いくつかの異なる哲学とアプローチがあった」とフローリー。

「当然ながら、我々のような状況では、あらゆる手を尽くさなければならない。試みればうまくいくこともあれば、そうでないこともある。したがって今夜はあらゆることを分析し、2台のマシンからできる限り多くのことを学び、明日最高のパッケージを提供できるよう、それらを融合させなければならない」

トヨタTR010ハイブリッド
2台でセットアップを分けたトヨタTR010ハイブリッド

 トヨタはイモラの決勝で戦略を完璧に実行したが、フローリーはスパでも同様の戦略を取ることが「ポイントを獲得する唯一の方法だ」と認めた。

 昨年のスパでは、15番手と16番手という低いグリッドポジションから追い上げ、最終的に4位と7位でフィニッシュしている。

 可夢偉は、トヨタは特に第2セクターで苦戦したと述べ「できる限り挽回できるよう最善を尽くしますが、簡単ではありません。例えばアルピーヌと比べると、第2セクターだけで1秒もロスしてしまいました」と語った。

 一方、8号車のブレンドン・ハートレーは16番手に終わった予選のラップ中にいくつかのミスがあったためだと認めた。

「可夢偉はかなり良いラップを刻んで12番手だったので、僕らのペースが足りなかったことが分かる」とハートレーは語った。

「マシンにいくつか調整を加えたが、すべてがうまくかみ合わず、僕も完璧なラップを刻むことができなかった」

■「フィーリングがまったくない」と15番手のジョビナッツィ

 イモラで上位を走った陣営のうち、トヨタだけがスパの予選で苦戦したわけではない。フェラーリ499Pは3台のうちハイパーポールに進出したのは1台のみとなった。アントニオ・フォコがドライブする50号車は、最終的に土曜日の決勝レースを8番グリッドからスタートすることになった。

 一方でアントニオ・ジョビナッツィはイモラで51号車をポールポジションに導いたものの、スパでは精彩を欠き、15番グリッドに終わっている。

「マシンのフィーリングがまったく良くなかった。ペースも上がらなかった」とジョビナッツィは語り、さらにフェラーリは51号車でプラクティス中に「多くの問題」を抱えており、それがさらに不利な状況を生み出したと付け加えた。

「明日のレースに向けて、より良いセッティングを見つけられることを願っている。ストレートでは非常に遅いので難しいだろうが、できる限りのことをしてみよう」

 ジョビナッツィは2分01秒848を記録したが、これはハイパーポールでフォコがマークした2分01秒117に及ばず、ジョビナッツィはチームメイトのパフォーマンスに匹敵することは不可能だったと語った。

「マシンとのフィーリングがまったくなかったので、彼(フォコ)のラップタイムを出すことは到底できなかった」とジョビナッツィは述べている。

アントニオ・ジョビナッツィ
51号車フェラーリ499Pのアタッカーを務めたアントニオ・ジョビナッツィ

 50号車のフォコは、フェラーリの最大の課題はストレートスピードの不足だと語り、「僕らはベストを尽くしたと思う。ラップタイムにはとても満足しているが、充分なものではなかった」と付け加えた。

「本当に良い仕事をしたのに、セクター1とセクター3でラップタイムを大きくロスしてしまったのは、非常に悔しい。チームは今週末、全力を尽くしてくれた」

「これは僕らの手に負えることではないが、自分たちに集中して、明日のレースでベストを尽くす必要があるね」

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