6月5日(金)、フランス・ル・マン市内のリパブリック広場にて、第94回ル・マン24時間レースの公開車検が始まった。サーキットから運ばれたマシンは広場内で車検を受け、ドライバーたちは参加受付やメディアの取材を経てトークショーへと出席し、最後はマシンやチームスタッフたちとともに記念写真を撮影する恒例のイベントだ。
土曜日までの2日にわたって行われる車検、その1日目のリパブリック広場から各種トピックスをお届けする。
■2便のフライトキャンセルで間に合わず
来週末に開催されるル・マン24時間レースにエントリーした62台のうち39台が公開車検場に現れ、今年のル・マンの公式イベントが幕を開けた。
この日登場した注目のハイパーカーチームには、BMW MチームWRT、初参戦となるジェネシス・マグマ・レーシング、ハート・オブ・レーシングチーム(アストンマーティン)、プジョー・トタルエナジーズ、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAとウェイン・テイラー・レーシングのキャデラック勢、そしてアルピーヌ・エンデュランス・チームなどが含まれる。
LMGT3クラスの優勝候補であるTFスポーツ、AFコルセ、プロトン・コンペティション、マンタイ・レーシングも、この賑やかな一日に姿を見せた。LMP2クラスのCLXモータースポーツ、TDSレーシング、そして2度のクラス優勝経験を持ち、前回も優勝したインターユーロポル・コンペティションも参加し、現地時間午前10時に最初に検査を受けた2台となった。
注目すべき欠席者の中には、LMP2クラスにエントリーするニールセン・レーシングのドライバー、ジャック・ドゥーハンも含まれている。彼は今週末、ハースF1チームのリザーブドライバーとしてモナコGPに滞在している。
ル・マン初参戦となるこの23歳のオーストラリア人ドライバーは、日曜日のテストデーに参加するため、土曜日の夜に到着する予定だという。FIAプラチナ認定のル・マン・ルーキー・ドライバーはテストデーの免除を申請できるが、レース出場資格を得るにはフリープラクティスで規定周回数を完了する必要がある。
一方、今年初めにマウンテンバイク事故で肘を骨折し、来週末にレース復帰を予定しているベン・キーティングは、ル・マンに向かう途中で2便のフライトがキャンセルとなり、車検の予定に間に合わなかったと、TFスポーツのチーム代表トム・フェリエは述べている。
■トヨタではマッソンが「数周」走行へ
ジェネシス・マグマ・レーシングのリザーブドライバー、ジェイミー・チャドウィックが、日曜日のテストデーに向けて2台のジェネシスGMR-001に加わった。チャドウィックの名前は、木曜日に発表されたテストデーの初期エントリーリストには掲載されていなかった。チームの広報担当者によると、彼女の具体的な走行プランはまだ確定していないとのことだ。
トヨタ・レーシングのTR010ハイブリッド2台に名前が載っているエステバン・マッソンは、今回初めてチームの非公式リザーブドライバーを務める。これは、これまでそのポジションを務めていたホセ・マリア・ロペスからの大きな変更となる。通常、WECではアコーディスASPチームから参戦しているマッソンは、今週末はフォレスティエ・レーシング・バイ・パニスの29号車オレカ07・ギブソンをドライブする。
マッソンはSportscar365に対し、「正直に言うと、リザーブドライバーとしてレースウイークに走れることを証明するために、(テストデーで)数周走るつもりだ。何周か走っておく必要があるからだ。トヨタのドライバーに何かあった場合──もちろんそうなってほしくはないが──テストデーで何周か走っておく必要があるんだ」と語った。
■アレックス・リンはキャデラックに復帰しない?
4月の開幕戦イモラでウィル・スティーブンスとノーマン・ナトがドライブするJOTAの12号車キャデラックVシリーズ.Rはポイントを獲得できておらず、スパ・フランコルシャンでチームデビューを果たしたルイ・デレトラズは、彼ら2名と同ポイントでル・マンに臨む。一方、マクラーレン移籍が濃厚とみられるアレックス・リンは、首の手術後もチームに復帰しないのではないかという噂が広まっている。
なお、GTPドライバーにとって、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWECシーズンの残りのレースで直接の日程バッティングはない。ただし、LMP2クラスが最上位クラスとなり、GTDプロとGTDクラスも参戦するカナディアン・タイヤ・モータースポーツ・パークで開催されるIMSAのレースは、7月のWECサンパウロ6時間レースと同じ週末に行われる。
■NASCARデビューの裏側
BMWのファクトリードライバーであるケビン・マグヌッセンは、トラックハウス・レーシングのプロジェクト91の一員として、6月19日から21日にサンディエゴ・コロナド海軍基地で開催されるNASCARカップ・シリーズに初参戦し、NASCARレースデビューを果たす。
元スポーツカーレーサーのジャスティン・マークスが共同オーナーを務めるこのチームは、昨年、エリオ・カストロネベスを擁してデイトナ500にプロジェクト91として参戦し、同プログラムを通じてシェーン・ヴァン・ギスバーゲンをシリーズに迎え入れた。ヴァン・ギスバーゲンは2023年、シカゴ・ストリートコースでのデビュー戦で優勝を果たしている。
テスト制限のため、このイベントで初めてマシンを走らせるマグヌッセンは、Sportscar365に対し次のように語った。
「ジャスティンから電話があり、興味があるかと聞かれたので、もちろん興味があるよ、と。NASCARはモータースポーツの中でももっとも大きなカテゴリーのひとつだと思うし、レーシングドライバーとして、その経験を積んで挑戦できるのは素晴らしいことだと思う」
「とにかく楽しんで、できる限り早く多くのことを学びたいと思っている。いきなりレースに放り込まれることになるだろうけど、それは僕の好きなところだし、楽しみにしているよ」
■カタール延期で「いきなりル・マン」に
ロマン・デ・アンジェリスは、昨年のシーズン最終戦バーレーン8時間レース以来、ジョージ・ハワード・チャペル率いるハート・オブ・レーシングのWECハイパーカーチームに参加していなかったため、同じくウェザーテック・チャンピオンシップGTPドライバーのロス・ガンとともにチームに復帰したことは「不思議な」感覚だと語った。
ふたりは本来開幕戦として予定されていたカタールでの1812kmレースでチームのアストンマーティン・ヴァルキリーのサードドライバーを務める予定だったが、同レースは中東情勢を受けて10月に延期されていた。
デ・アンジェリスはSportscar365に対し、「昨年カタールで参戦して、みんなと会った。このチームは巨大で、スタッフの多さに改めて気づかされる。でも、いい感じだよ。みんな仲が良くて、エンジニアリング関連のことで連絡を取り合っている。まるで大家族みたいだ」と語った。
■土曜日には公道パレードも
アルピーヌ・エンデュランス・チームのドライバーたちは、著名なデジタルアーティストであるイタリアの双子の兄弟、ステファノとマルコ・スキアヴォン(通称ヴァン・オートン)がデザインした特別なレーシングスーツを着用して車検に登場した。
このデザインには、アルピーヌがル・マンに初参戦した1963年のM63、1978年の優勝マシンであるルノー・アルピーヌA442B、そして現在ル・マン参戦予定の最後のマシンであるA424が描かれている。
車検2日目となる土曜日は、残る23台が車検を受け、その後、2023年から引き続き4回目となる恒例の公道パレードが実施される。ル・マン市街地を巡るこのパレードは今年コースが変更され、観客のために12か所の観覧スポットが設けられており、午後3時にスタートが予定されている。
レースに出場する19台のマシン(ハイパーカーとLMGT3の各メーカーから1台ずつ、さらにLMP2マシン2台を含む)が、セーフティカー、ビンテージカー、トロフィーカーを伴って、1時間におよぶパレードに参加する予定だ。これには、2日目に車検が予定されているトヨタ・レーシングから、8号車TR010ハイブリッドで出走するセバスチャン・ブエミも含まれている。





