WEC世界耐久選手権に参戦しているトヨタ・レーシングは、6月7日にフランスのサルト・サーキットで実施された『第94回ル・マン24時間レース』のテストデーに臨み、1週間後に控えた伝統の耐久レースの“本番”に向け、2台のトヨタTR010ハイブリッドで確認作業を行った。
世界三大レースのひとつであるル・マン24時間レース向けた準備を加速させるべく、チームは計2回、都合6時間にわたって行われたセッションでセットアップとタイヤ分析を中心としたプログラムを実施した。
レースの舞台となるサルト・サーキットの全長は13.626km。その中には公道区間も含まれ、そのスケールや特異性の点では他に類を見ないサーキットといえる。同地での6時間のテストでは、長い全開区間、激しいブレーキング、高速コーナーが組み合わさるコースに適合できるよう車両のセットアップ作業が行われた。
2台のトヨタTR010ハイブリッドは、現地10時から始まったセッション1で順調に周回を重ねていたが、終了25分前にセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組の8号車を不運が襲う。平川がドライブしていたこのマシンは、ターン3でスピンしたLMP2車両と接触。8号車は左サイドとリリヤにダメージを受け、コース脇でマシンを止めることとなった。
このアクシデントにより、チームは昼のインターバルの間に大規模な修復作業を余儀なくされたものの、メカニックたちの懸命な作業によって8号車は15時30分からのセッション2の開始時にふたたびコースに戻ることができた。
その後、8号車は午後のセッションで2番手タイムを記録し、一日の総合順位でも2番手に。一方、セッション1を7番手で終えたマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組の7号車はセッション2で8番手、総合では9番手でテストデーを終えている。なお7号車では、トヨタ育成プログラムに参加する21歳のフランス人ドライバー、エステバン・マッソンが午前中にステアリングを握った。
恒例のテストデーを終えたWEC第3戦ル・マンの本戦は、6月10日(水)にフリー走行と予選、11日(木)に2回のハイパーポールと最後のフリー走行が行われた後、13日(土)の16時に24時間レースのスタートが切られる予定だ。
■トヨタ・レーシング ドライバー&エンジニアコメント
●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「テストは全体的に非常に順調でしたし、ふたたびル・マンに戻ってこられてうれしく思います。今日の走行でTR010ハイブリッドについて多くのことを学ぶことができました。まだ改善すべき点はありますが、何をすべきかは把握できています。セットアップに関しては、ほぼ想定どおりの位置にいると思います」
「今後はコースコンディションが自分たちに有利に働くかどうかを見極めながら、全体的なパフォーマンス向上を目指したいです。チーム全員がここまで懸命に取り組んできましたし、充分な準備ができていると感じています。来週はいよいよ勝負です」
●平川亮(8号車ドライバー)
「充実した一日でしたし、TR010ハイブリッドとともにふたたびル・マンに戻ってこられてうれしく思います。今日のクルマのフィーリングはとても良かったです」
「主な目的はタイヤの評価で、3種類すべてのコンパウンドを試しました。タイヤ、車両システム、そしてセットアップについて多くのことを学ぶことができました。全体的にポジティブな内容で、昨年と比べて前進できているように感じます」
「午前中のアクシデントは本当に不運でした。私にできることは何もありませんでしたが、レース前に厄払いができたと思うことにします。メカニックたちは素晴らしい仕事をしてくれて、予定していたプログラムをすべて消化することができました。本当に頭が下がります」
●佐藤真之介(パワートレイン・エンジニア)
「このコースでは豊富な経験がありますが、今季に向けて車両に変更を加えました。その変更を検証するうえで、とくに長いストレート区間を持つル・マンでの今日のテストは非常に重要でした。ル・マンでは他のサーキット以上に長時間高速走行が続くため、パワートレインの使い方も特殊であり、出力配分が重要になります」
●バスティアン・ケルンシュトック(7号車レースエンジニア)
「このコースは一部が再舗装され、さらに公道区間も含まれるため、路面状況が毎年変化する。そうした特性を理解する必要があり、その意味で今日のテストは非常に重要だった」
「また今季は新しいタイヤを使用しており、ル・マンでは初めて走らせるため、まずタイヤの理解が最優先事項だった。次にセットアップ作業を進め、レースで高い性能と扱いやすさを両立できる妥協点を探っている」
●ライアン・ディングル(8号車レースエンジニア)
「WECのほとんどのサーキットでは、レース前の一定期間はテストが禁止されている。それだけ事前テストから得られる情報がレースパフォーマンスに大きく影響するんだ」
「そのためル・マンのテストデーはつねに非常に貴重な機会だと言える。コースの変化や新しいタイヤを評価することができた。また、ル・マンでは他のWECラウンドよりも選択できるタイヤコンパウンドが多く、新たなチャンスと課題がある。それも競争の一部であり、その分野でも懸命に取り組む必要がある」



