レースウイークの走行開始を翌日に控えた6月9日のル・マン、サルト・サーキット。この日は午後からピットウォークやドライバーのサイン会、タイヤ交換作業の速さを競う『ピットストップ・チャレンジ』などが行われ、いよいよ始まるレースウイークを前に、サーキットのテンションは徐々に上がってきている。
そんな火曜日のパドックで、7日に行われたテストデーで衝撃的なクラッシュにも見舞われた8号車トヨタTR010ハイブリッド(トヨタ・レーシング)の平川亮に、話を聞いた。
■テストデーで宙を飛ぶクラッシュも「身体は大丈夫」
件のクラッシュはセッション1の終盤、ターン3のシケイン立ち上がりで発生。突如スピン状態に陥ったLMP2マシンが、8号車の左サイドに突っ込んでくる形となった。平川がステアリングを握っていた8号車はその衝撃で宙に浮き、コース上に叩きつけられたが、幸いにも平川の身体にはダメージがなかったという。
「避けようにも避けられない状況だったので、しょうがないかなと。うまく着地したので身体は大丈夫なのですが、クルマが結構壊れてしまったのは残念です」と平川。
クラッシュがセッション終盤だったこと、そしてメカニックたちの迅速な作業のおかげで午後のセッションに修復が間に合ったことで、メニュー消化への影響は「まったくなかった」のも不幸中の幸いだった。
その午後のセッションを2番手で終えた8号車。今季、アップデートを投入し、マシンとブランド名称が変更されたトヨタは好調そうにも見える。実際、平川は空力等のアップデート影響を、概ねポジティブに感じているようだ。
昨年までのGR010から比べて、どんな車両姿勢においても安定した空力性能を発揮することがひとつの大きなターゲットとなっているTR010。昨年は“ル・マンのランドクルーザー”という名コピーも誕生するほど、縁石に乗り上げて走ることができるクルマだったが、その分、高速コーナーでは苦労していた。一方、今年のクルマは「まだ縁石を使うことはできていますし、一方で苦手だった高速コーナーも得意になってきている」と、狙いどおりの改良になっているようだ。
「トップスピードはもうちょっと欲しいところはありますが、それでも全域でクルマのバランスが予想しやすいというか、突然ロックしたりといったこともなくなったので、特にル・マンでは結構自信を持って走れていると思いますね」と平川は手応えを感じている様子。
レースウイークに向けては「まだちょっとセットアップを詰められるところはある」とのことで、ここが水曜・木曜の走行におけるひとつのポイントとなりそう。また、今年のル・マンウイークは決勝日に向けて徐々に気温が上がっていく予報となっているが、今季新スペックが導入されているミシュランタイヤの使い方も、カギとなっていきそうだ。


