フランスのサルト・サーキットで開催されている2026年WEC世界耐久選手権第3戦『第94回ル・マン24時間レース』は、現地時間6月13日16時のスタートから18時間が経過した。夜間走行から夜明けを迎え、終盤に入っていく時間帯では、BMW MチームWRTの20号車BMW MハイブリッドV8(ロビン・フラインス/レネ・ラスト/シェルドン・ファン・デル・リンデ)が総合首位を走行している。
折り返しとなる12時間まではキャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車&38号車キャデラックVシリーズ.R、トヨタ・レーシングの8号車トヨタTR010ハイブリッド、BMW Mチーム WRTの20号車BMW Mハイブリッド V8が主役となり首位争いを繰り広げている2026年のル・マン24時間レース。総合優勝を争うハイパーカークラスはフェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P以外に大きなマシントラブルは見られなかったが、夜間走行で耐久レースの過酷さが出始める。
■夜間走行で各車にトラブルが襲う
決勝レースが12時間経過したちょうど、上位争いを繰り広げている8号車トヨタTR010ハイブリッドは日本人ドライバーの平川亮がピットイン。燃料補給とタイヤ交換を済ませ、平川がダブルスティントでコースに復帰する。しかし、8号車トヨタはFCY時の違反によりドライブスルーペナルティが科されてしまい、20号車BMW MハイブリッドV8が総合2番手に浮上、8号車トヨタTR010ハイブリッドは3番手と順位が入れ替わった。
その直後には実質2位だった38号車キャデラックがピットインからマシンをガレージに入れてしまい、レース序盤からワン・ツー体制を築いてきたキャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの一角が崩れることに。38号車はフロントカウルを外して修復作業が行われるが、セバスチャン・ブルデーはコックピットから降りてしまいマシン横で落胆、レースには復帰したもののトップ争いから大きく後退してしまった。
その後にはプジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8がピットインと同時にマシンのリヤカウルとウイングを外して作業を実施。メカニックは車体上部カメラ付近にガムテープを貼り付けたりリヤエンドをハンマーで叩いてコースに復帰させる。また、ジェネシス・マグマ・レーシングの19号車ジェネシスGMR-001ハイパーカーがコース上で一時ストップするなど、ル・マン24時間レースは折り返しを迎えた夜間走行中、各車に徐々に牙を向き始める。
レース残り10時間に迫ると夜明けを迎え、空がだんだんと明るくなってくる。このタイミングで首位を走行する12号車キャデラックVシリーズ.Rはナトが3分26秒305で全体ベストタイムを更新する速さをみせる。朝日がコースを照らすなか、残り9時間12分ではLMP2クラスの99号車オレカ07・ギブソン(AO・バイ・TF)がミュルサンヌ・コーナーでクラッシュ、スローゾーン導入に。ここで数台がピットインを行い、上位陣は12号車キャデラックがステイアウト、対する20号車BMWはピットインするという戦略が分かれた。
キャデラック陣営は7番手を走行していたキャデラックWTRの101号車にフルコースイエロー(FCY)時の違反、さらにスローゾーン手順違反で2連続ドライブスルーペナルティが科され、キャデラック勢はトップをいく12号車のみがノートラブル、ノーアクシデントで生き残る格好に。そして、完全に太陽が登った時間で好走をみせたのは3番手走行を続ける8号車トヨタのセバスチャン・ブエミで、残り8時間半では3分25秒968でファステストラップを更新。トップ2との差を少しずつ縮める。
■首位の12号車キャデラックにペナルティも三つ巴が続く
そのブエミは12号車キャデラックとのギャップを約46秒、20号車BMWとは約16秒としてピットに向かう。ブレンドン・ハートレーにドライバーチェンジしてレースに復帰した8号車トヨタは、続いてピットに入った20号車BMWとの作業時間差を活かして逆転、2番手にポジションを上げた。一方でレース序盤最速だった38号車キャデラックはトラブル修復後、ふたたびマシンをガレージに入れシャッターダウン。スタートから14時間でハイパーカー初リタイアとなった。
トップを走行し続ける12号車キャデラックは残り7時間35分で23回目のピットイン。燃料補給とタイヤ交換を経てルイ・デレトラズがコースに戻るが、先にピット作業を終えているハートレー駆る8号車トヨタがタイヤ無交換のコンディション違いを活かしてギャップを一気に20秒ほどにまで縮める。ただ、3番手には1秒以内で20号車BMWのシェルドン・ファン・デル・リンデがテール・トゥ・ノーズに迫る。
2台のバトルはその後も続いたが、ここでトップをいく12号車キャデラックにスローゾーン手順違反でドライブスルーペナルティが提示。このタイミングで12号車キャデラックと8号車トヨタとの差は約16秒にまで縮まっていたため、デレトラズがペナルティ消化のためピットレーンを進む間にハートレーの8号車トヨタが総合首位に立つ。20号車BMWは1.2秒差の2番手、12号車キャデラックは13秒差の3番手でレースは17時間を迎えた。
■8号車トヨタの左フロントに異常発生
ハートレー駆る8号車トヨタはファン・デル・リンデの20号車BMWを抑えていたものの、20号車BMWは8号車トヨタとの間隔をやや空けてペースコントロール。276周目には8号車トヨタがピットに入り燃料補給とミディアムタイヤに交換、ドライバーはハートレーのままで復帰する。対する20号車BMWは翌周にピットインし、ドライバーおよびソフトタイヤ無交換でコースに戻ると、作業時間差で8号車トヨタの前に出て再度首位が交代する。
その直後のFCY導入では、3番手にポジションダウンした12号車キャデラックが燃料不足のため10秒間の燃料補給のみ許されるエマージェンシーピットへ。12号車は一旦トップで復帰し、FCY解除後にふたたび正規の燃料補給を余儀なくされたものの、緊急給油とタイヤ無交換が功を奏したのか8号車トヨタの前となる2番手でのレース復帰に成功。
しかし残り6時間20分、8号車トヨタが12号車キャデラックに追いつき、インディアナポリス・コーナーへの進入でハートレーがデレトラズをアウトからオーバーテイク。8号車トヨタがふたたび2番手に返り咲き、ハートレーは3分25秒421のファステストラップをマークしながら首位をいく20号車BMWよりも約1秒ほど速いペースでギャップを縮めにかかる。しかし、8号車トヨタは次のピットインで左フロントまわりに何らかの異常が起き、修復作業を余儀なくされてしまう。8号車トヨタはこのタイムロスにより4番手に後退して平川亮がコースに戻っている。
LMP2は序盤から首位に経っているデュケーヌ・チームの30号車オレカ07・ギブソンがクラストップを引き続き走行。2番手にはインターユーロポル・コンペティションの343号車オレカが約12秒差で続いている。
太田格之進がドライブするプロトン・コンペティションの9号車オレカはクラス6番手を走行していたが、ヨナス・リードがドライブしている18時間経過直前に最終区間の看板を引っ掛けてしまいスロー走行に。左フロントにトラブルを抱えているようで、テルトル・ルージュ・コーナーにマシンを一度ストップさせた。
LMGT3は、TFスポーツの33号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.Rがクラストップを走行。2番手にはハート・オブ・レーシング・チームの27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3がスローゾーン手順違反でドライブスルーペナルティを科されたが続き、アコーディスASPチームの78号車レクサスRC F LMGT3が3番手を走る。
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 LMGT3エボは早朝に木村武史がステアリングを握り13番手。ジュリアーノ・アレジが加入したチーム・カタール・バイ・アイアン・リンクスの62号車メルセデスAMG LMGT3は足まわりにトラブルを抱えたものの修復を行い走行を続けている。
18時間が過ぎ、いよいよ終盤戦に突入していく2026年のル・マン24時間レース。残りは6時間とはいえ、通常のWECワンレース分の時間が残っているだけに、まだまだドラマが起こる可能性はあるだろう。








