世界三大レースのひとつである『ル・マン24時間』をシリーズの1戦に組み込むWEC世界耐久選手権。静岡県・富士スピードウェイでは今年もシリーズ第7戦富士6時間レースが10月13~15日に開催されるが、そもそもWECとはどのようなシリーズなのか、WEC富士の前におさらいしておこう。今回はWECを構成する4つのクラスについて紹介する。
WECはプロトタイプレーシングカーで争われるLMP1クラスとLMP2クラス、市販量産車を元に開発されたGTカーで競うLM-GTEプロクラス、LM-GTEアマクラスの4クラスに分けられている。
LMP1とLMP2、ふたつのプロトタイプクラスのうち最高峰のLMP1クラスは、自動車メーカーのワークスチームやメーカーの支援を受けたチームが参戦するクラス。基本的に各社が独自に開発したシャシー、パワートレーンを用いたマシンによって争われる。
そんなLMP1クラスのなかにはハイブリッドシステムを搭載するLMP1-Hと非搭載のLMP1とがあり、トヨタとポルシェはともにLMP1-Hに属する。対するLMP1は今季、ニッサン/ニスモエンジンを使用するチーム・バイコレスが唯一参戦していたが、2018年型マシンの開発に注力するため、シーズン後半戦の参戦を見送っている。
新シャシーの採用とエンジンのパワーアップによって昨年より格段にスピードアップを果たしたLMP2クラスは、カスタマーチームがコンストラクターから市販シャシー、エンジンを購入して争うクラスだ。
車体に関してはWECを運営するFIA国際自動車連盟ならびにACOフランス西部自動車クラブは2017年、車両規定の改定にあたりLMP2シャシーの供給元をオレカ、オンローク(リジェ)、ダラーラ、ライリーの4社に限定。
そのため各チームは4メーカーのシャシーの中から自由に使用マシンを選ぶことができるが、今季は近年のル・マンやWECシリーズ戦で高い実績をあげているオレカに人気が集中。全チームがオレカの新型マシン『オレカ07』を導入している。
エンジンに関しても今シーズンよりギブソン製4.2リッターV8エンジンのワンメイクとなったため、参戦する全7チームのマシンがまったく同じマシンパッケージとなった。それゆえに毎戦拮抗した戦いが展開されている。