IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WSCC)の2018年シーズン第6戦サーレンズ6時間オブ・ザ・グレンがニュー・ヨーク州のワトキンス・グレン・インターナショナルで開催された。
同シリーズはアメリカのスポーツカーレース最高峰。主催はフロリダ州デイトナビーチに本部を置くIMSA(インターナショナル・モーター・スポーツ・アソシエイション)だ。
ウェザーテックというのは、車のトランクやフロアに敷くラバー製トレイ。汚れた靴や濡れた靴を履いたたま乗っても車内のカーペットが汚れず、トランクやSUVの荷室も完全にカバーするので泥などでクルマが汚れずに済む便利なグッズで、多くの自動車メーカーのかなりのモデルに対して専用設計した製品を用意している。
そのウェザーテックがタイトルスポンサーを務めるWSCCのトップカテゴリーはプロトタイプ(P)クラス。デイトナプロト・インターナショナル(DPi)と、FIA規定のLMP2マシンがここに含まれる。そして、WEC世界耐久選手権やル・マン24時間耐久レース同様にGTマシンも混走するレースを行っている。
ワトキンス・グレン・インターナショナルにはP、GTル・マン(GTLM)、GTデイトナ(GTD)の3クラス合計42台が出場した。今回のレースで優勝したのはプライベーターの走らせるオレカLMP2マシンで、DPi勢のトップはアキュラの3位だった。
■バラエティに富むIMSAのトップカテゴリー
参戦経費を抑えればバラエティに富むマシンが数多くエントリーし、ファンが見て楽しめるエキサイティングなレースを実現可能。1980~90年代にGTPというカテゴリーで大成功を納めた彼らは、自分たちの考え方に自信を持っており、2017年にDPiをスタートさせた。
キャデラック、ニッサン、マツダの3メーカーがコンセプトに賛同してすぐさま参戦を始め、2018年はそこにアキュラ(ホンダ)が加わった。
DPiは市販されているLMP2マシンをベースにしている。自動車メーカーが魅力を感じるよう、彼らにボディのモディファイを許した。
キャデラックのDPiマシンは彼らのハイパフォーマンスラインであるVシリーズの特徴をよく表したものとなっており、アキュラのマシンもNSXやアキュラブランドで展開する市販車のイメージを上手に取り入れている。
シャシーは現在の出場4メーカーそれぞれが異なるブランドを選んだ。キャデラックはイタリアのダラーラ、ニッサンはフランスのリジェ(オンローク・オートモービル)、マツダはアメリカのライリー/マルチマチック、アキュラはフランスのオレカで、各コンストラクターの協力もレースを戦う上で重要なポイントとなっている。
IMSAは各自動車メーカーが望むタイプのエンジンの搭載も許している。キャデラックはいかにもアメリカンな自然吸気の大排気量V8(6.3リッターでスタートし、今年5.5リッターに変更)を選び、マツダはコンパクトな2リッター直列4気筒ターボをチョイス。ニッサンはGT-Rの3.8リッターV6ツインターボを選択し、アキュラは型式は異なるもののNSXと同じ3.5リッターV6ツインターボ(ハイブリッドではない)をセレクト。
エンジンが違えばエキゾーストサウンドも各社独特のものになる。DPiはバラエティ豊富なマシンが競い合う点も大きなセールスポイントとなっている。