レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2018.10.10 10:55
更新日: 2018.10.10 11:05

WEC:ル・マン優勝の中嶋一貴、父・悟氏からの祝福は「わずか1行でした(笑)」

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | WEC:ル・マン優勝の中嶋一貴、父・悟氏からの祝福は「わずか1行でした(笑)」

 悲願のル・マン24時間優勝を果たし、まもなくWEC富士6時間レースへと“凱旋”するTOYOTA GAZOO Racing。“日本車で初めてル・マンを制した日本人ドライバー”となった中嶋一貴に、2012年から続くル・マンへの挑戦について、これまでの裏話や「いまだから話せること」の数々を聞いた。

* * * * * * *

──今年のル・マンが終わってから、「ホッとした」という言葉を100回くらい聞いたような気がします。

一貴「100回くらい言ってますからね(笑)。でも、やっぱりそれが一番正直な気持ちなんでしょうね。終わった後の安堵感が大きすぎて、どうしようもなくうれしいといったような気持ちが結局ないまま、いまに至っています」

──村田久武チーム代表は「終わってしばらくは灰だった」ようです。

一貴「僕らもそれに近い感じはありますが、(WECの)シーズンはまだ続いているので、燃え尽きてばかりはいられない。いまはもう通常営業です」

──直後の優勝報告会では、父上の悟さんや弟の大祐さんとまだ直接会って話をしていないと言ってましたが。

一貴「親父には……まだ会っていない気がするんですよね。(国内)レースの現場でも意外と会わないし」

──電話やメッセージは?

一貴「携帯のショートメッセージで「おめでとう」と、1行で収まる程度で。まぁ、そんなもんです(笑)」

──ドライですね(笑)。さて、ル・マンでの勝利を勝ち取るまでに7年かかったわけですが、初めて出た2012年は、現場の雰囲気に気持ちが舞い上がっていたと以前に話されていました。

一貴「そうですね、必要以上にテンションが高かった気がします。それがいい意味で走りに出る時もあるんでしょうけど、あの時は逆でした。僕が乗った時、目の前にアウディが走っていて『やっつけてやる』みたいな感じで全開でやり合った。まるでスプリントレースのようなテンションでした(編注:その後ニッサン・デルタウイングと接触)。いま思えば、そういうメンタリティで24時間レースを戦うべきではないのですが、まぁ若かったんでしょう」

中嶋一貴のヘルメット
中嶋一貴のヘルメット

──タイムマシンに乗ってその時の自分に会ったら、何と声を掛けますか?

一貴「『24時間、長いからね』と言うと思うけど、言ったところで多分同じ結果になっていたでしょうね。自分でああいった経験を一度しないと、多分勉強しないだろうから」

──結果的に一貴さんの7号車トヨタTS030ハイブリッドは、開始後11時間でエンジントラブルによりリタイアしました。

一貴「自分のスティントが終わって夜コンテナ内で寝ていたら、誰かがリタイアを告げに来たようなんですが、ちょうどいい感じで寝ていたので『もうここで寝ます』と。そうしたら、ホスピのスタッフからメカニックからエンジニアまで全員ホテルに帰ってしまって、朝起きたら誰もいなかったんですよ(笑)」

一貴「とりあえず顔を洗ってボーッとしていたら、たまたまトヨタの人がサーキットにいたので、一緒にパン屋さんに朝ご飯を買いに行き、サーキットで食べた。でも、そこからまだ半日くらいレースをやっていて、改めて長いレースだなあと実感しましたね」

“日本車で初めてル・マンを制した日本人ドライバー”となった中嶋一貴
“日本車で初めてル・マンを制した日本人ドライバー”となった中嶋一貴

* * * * * * *

“ドライ”な中嶋家ではあるが、2015年のスパ戦で背骨を損傷するクラッシュに見舞われた際、骨にセメントを注入する手術を医師に勧められた一貴は、さすがに父・悟氏に相談をしたという。そのときの悟氏の反応とは――。

 2014年、2016年のレース中のストップを含め、数々のドラマを生んだ7回のル・マン挑戦を一貴が語り尽くすスペシャルインタビューは、10月11日(木)発売のautosport特別編集『TOYOTA×Le Mans 24h トヨタ ル・マン挑戦の軌跡』に掲載しています。

『TOYOTA×Le Mans 24h トヨタ ル・マン挑戦の軌跡』スペシャルインタビュー with 中嶋一貴
『TOYOTA×Le Mans 24h トヨタ ル・マン挑戦の軌跡』スペシャルインタビュー with 中嶋一貴
三栄書房オンラインでの予約・購入はこちらから


関連のニュース