2018年5月から2019年6月にかけて全8戦で行われるWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”。そのカレンダーに組み込まれたアメリカ・セブリングラウンドはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権との併催イベントとなる一戦だ。1000マイルレースと12時間レースが開催されるこのビッグイベントに、日本からオートスポーツ本誌編集部員・ナカノが潜入。現地からレースレポートとは一味違うトピックスの数々をお届けします。
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やってきましたアメリカ・フロリダ州セブリング。セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われるWEC第6戦とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦の併催イベント、通称スーパーセブリング(SUPER SEBRING)!! セブリング初体験のオートスポーツ本誌編集部WEC担当・ナカノが現地よりお届けします。
火曜からサーキット入りして2日が経ちましたが、もう足がくたくた。なぜなら、セブリングではとにかくコンクリート舗装の上を歩かなければならないのです……。どういうことか? それは、パドックの光景を見れば分かるでしょう。
今回のイベント、とにかく規模がデカい。WEC第6戦セブリング1000マイルに加えて、IMSAウェザーテックスポーツカー選手権第2戦セブリング12時間、ミシュラン・パイロットチャレンジ、IMSAプロトタイプチャレンジというアメリカの各シリーズが行われるのですが、その参戦台数合計は、なんと137台!
マシンはすべてアメリカ式に(ピットボックスではなく)パドックのテントでメンテナンスされます。IMSAのチームにとってはそれが“日常の光景”。多くのチームが、トランスポーターから横に張り出したテントの中で作業をしています。こちらはIMSAのDPiクラスを戦うマツダチーム・ヨーストのガレージ。
このパドック、2本のストレートに挟まれたところにある細長~い空間なのですが、何しろ元が滑走路であるからして、とにかく長い……。
しかも、WECのパドックは最終コーナーイン側に位置するメディアセンターから一番遠いサイドにありまして、トヨタのガレージにたどり着くまで、徒歩10分弱くらいかかります(ちょっと大げさ?)。
富士スピードウェイのピットレーン入り口〜出口までよりも、おそらく長い距離と思われます。チーム関係者の多くは、ゴルフカートを使って移動しています。
で、そのパドックがカオスなんです。走行時間帯になるとマシンはパドックを通ってピットレーンと行き来するわけですが、そもそもパドックにはゴルフカートと(まだ水曜なのでそれほど多くはないですが)観客が入り乱れているわけです。
そんななか、トヨタのTS050ハイブリッドは、走行後、メカニックの手押しではなく自走、しかもモーター走行で静か~に帰ってきました。その横を、“ライバル”のレベリオンがギリギリの隙間を抜けていきます(こちらは手押し)。
なお、ひっきりなしに走ってくるカートも走行音は静かなため、気をつけてないと簡単に接触事故が起きてしまいます。
走行を終え、ピットロードからパドックに入ってくる通路です。WEC参戦車両のなかでも図体のデカいBMW M8 GTEが「ブーン!」とカッコよくエンジンをふかしてやってきます。
が、その先にはミシュランのテント前にたむろする無数のカート(タイヤ運搬用)があり、立ち往生。M8は結局、カートを動かしてもらったうえで誘導してもらい、なんとか窮地を切り抜けていました。
そのミシュランのサービステントがまた尋常ではない規模なんです! 小学校の体育館くらいの大型テントのなかに、うず高く積まれたタイヤ、タイヤ、タイヤ……。写真でもまったく伝わらない気がしますが、とにかくスケール感が違います。さすがSUPER SEBRING!
ところで、先週末にここセブリングで行なわれたテストで炎上してしまったチーム・プロジェクト1のポルシェ911 RSRですが、FP1の間も、ドイツから運ばれた新シャシーの組み付け作業をしているところでした。なんとか立ち直って欲しいものです。
※FP2は無事に出走。30周以上をラップしました。
■ドライバーが言う「乗っていて休むスキがない」の声に納得。とにかく跳ねるセブリングの路面状態
水曜夕方に行なわれたプレイベント記者会見には、小林可夢偉選手も登場。テストで初めて走ったセブリングのコースの印象や、「簡単ではない」という8号車とのチーム内争いについて答えていました。
時は戻って搬入日である火曜日、夕方にコースウォークの時間があったので、少しトラック上を歩いてみましたよ。確かめたかったのは、ドライバーの皆さんが「バンピー、パンピー」と形容するその路面です。
1941年に作られた空港をベースにするセブリングは起伏こそ少ないものの、路面自体はあちこちがヒビ割れ、そこを補修し……というツギハギだらけの状態。実際に歩いてみると、「ここをレーシングカーが走るのかよ」と思わずにはいられないほど、路面がガタガタなのです。
こちら、1コーナーのレコードライン上です。路面に入った穴(おそらくは、ポロポロとコンクリートが削れてできたもの)の深さをお伝えすべく、iPhone SEを突き刺してみましたよ。
うまく刺さっていませんが、このようなスマートフォンの横幅くらいの深さの穴は、いたるところに発見できました。ドライバーの皆さんが「乗っていて休むスキがない」というのも頷けます。
この時期、フロリダの日没は19時半すぎ。昼間は30度に迫る気温も、夕方にはだいぶ涼しくなり(湿度は高いですが)、こんな夕日が拝めるとホッとしますね。
木曜に行なわれるWECの予選は、現地時間21時30分スタート。日本から来た身にとっては時差ボケを抱えながらの大変なスケジュールとなりますが、楽しんで取材を続けたいと思います。それでは、また!