WEC世界耐久選手権は5月4日、2018/2019年“スーパーシーズン”第7戦スパ・フランコルシャンの決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)が総合優勝を飾った。
ベルギーの山間部に位置するスパ・フランコルシャンは予選日から決勝日の朝にかけて降雪がみられ、4日朝にはグラベルが雪で覆われたサーキットの写真がSNS等で数多く投稿された。
この雪の影響で一時はレース開催も危ぶまれたが、午前中に日差しが降り注いだことでコース脇の雪も解け、ウエット宣言は出されたものの、決勝レースはほぼドライ路面でスタートの時を迎える。
気温5度、路面温度9度という5月らしからぬ気候のなかで始まったレースは、スタート直後の1コーナーを前日の予選でポールポジションを獲得した7号車トヨタが抑え、そのままオープニングラップを総合首位で終える。しかし、そのオープニングラップを終える間際から急激に天候が悪化。セクター3方向から雪混じりの雨が降り出し、3周目には多くのマシンがピットに戻り、ウエットタイヤに履き替えていく。
7号車と8号車でワン・ツーを走るトヨタも3周目終わりに同時ピットインし溝付きレインタイヤに交換していくが、2番手の8号車トヨタ側のピットでは交換するタイヤの用意が間に合わず。このタイムロスによって、同じ周にピットに入ったレベリオン・レーシングの3号車レベリオンR13・ギブソンにポジションを譲ってしまう。
スタートから25分後、気温が1度まで下がり吹雪の様相を呈した天候をみてレースコントロールはセーフティカー(SC)を導入。以後25分間に渡ってSCランが続いていく。
リスタートはレーススタートから50分後。この頃には路面に水が残るものの、上空には青空が広がっていた。このコンディションのなかで3番手となっていた8号車トヨタは、1コーナーからオー・ルージュにかけての加速区間で3号車レベリオンを難なく交わして2番手に浮上する。直後、8号車のブエミは最終コーナーでオーバーシュートした僚友のコンウェイも交わして総合首位に立つと、徐々にリードを拡げ、その差を7秒以上に広げていく。
この後方では今レースがWECデビュー戦となったストフェル・バンドーン操るSMPレーシングの11号車BRエンジニアリングBR1・AERが、3号車レベリオンを攻略して3番手となった。
スタートから1時間5分、ジャッキー・チェン・DCレーシングの37号車オレカ07・ギブソンと、バイコレス・レーシング・チームの4号車ENSO CLM P1/01・ギブソンの接触に端を発したアクシデントの処理のために2度目のSCが導入される。トップの8号車トヨタはこのタイミングで給油のみのピット作業を行いコースイン。一方、首位を走る7号車トヨタはステイアウトを選択した。
その後、多くのマシンがスリック又は、スリックインターミディエイトに変えるのを見てマイク・コンウェイがドライブする7号車トヨタもようやくピットへ。ここでドライ用スリックタイヤに履き替えている。
スタートから1時間27分、セーフティカーの退去とともに8号車トヨタもタイヤを履き替えにピットに戻ると、クラス6番手でコースに復帰した。この時点でのトップ3はSMPレーシング11号車BR1、トヨタ7号車、SMP17号車というオーダーだったが、スタートから1時間35分後にはふたたび7号車トヨタが総合首位に立った。また、この直後にLMP1プライベーターがルーティンピットインを行ったことで、8号車トヨタも2番手に浮上している。
レース開始から2時間前後に2度のフルコースイエロー(FCY)が導入されるなか、コンウェイから交代した7号車トヨタの可夢偉が、2番手につける8号車のアロンソに対して約45秒のリードを保ちながらレースを引っ張っていく展開が続く。そんななかサーキットには再び雨粒が落ち始めたが、この雨はレース展開に影響は与えず。