FIA国際自動車連盟は6月2日、フランスのサルトサーキットで行われるル・マンテストデーに向けたEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)を5月17日付で発表した。
WECの最高峰カテゴリーであるLMP1クラスに課せられているEoTは、トヨタが走らせるハイブリッド車とプライベーター勢のノンハイブリッド車、そのなかの自然吸気エンジン搭載車、ターボエンジン搭載車ごとに生ずる技術的性能差を調整するもの。
2018/2019年“スーパーシーズン”では各ラウンドごとに微調整が行われており、今回公開された最新版は、6月12~16日に開催される第87回ル・マン24時間に向けた公式テストで適用される。
日本メーカー初のル・マン2連覇を目指すTOYOTA GAZOO RacingもこのEoTの調整を受けることになり、マシンの最低重量が2018年と比較して10kg重い888kgとなった。
この変更はスーパーシーズン第4戦富士以降、トヨタTS050ハイブリッドの最低重量を878kgから904kgに増やす際に、FIAと日本メーカーが合意した「ル・マンでは元の状態に戻す」という条項に反するものとなっている。一方、車両最低重量以外の項目では前年のル・マンと同じ数値が保たれた。
LMP1プライベーターが走らせるノンハイブリッド車については、1スティントあたりの搭載燃料量と給油リストリクター径がTBD(=未定)とされたほか、前戦の第7戦スパでは無制限となっていた“ラップあたりの使用可能エネルギー量”が0,0という数値で示されている。
この他、自然吸気エンジンを搭載するレベリオン・レーシングのレベリオンR13、ドラゴンスピードのBRエンジニアリングBR1、バイコレス・レーシング・チームのENSO CLM P1/01では、スパで824kgに引き上げられたマシン重量が今季最少の816kgに再変更された。
また、ノンハイブリッド車全体では燃料流量の制限値は前年のル・マンの108.0kg/hではなく、第3戦シルバーストン以降に適用されている115kg/hという数値が継続される予定だ。
■2018/2019年WEC第8戦ル・マン テストデー用EoT(5月17日発表版)
ノンハイブリッド | ノンハイブリッド | ハイブリッド | |
---|---|---|---|
エンジンタイプ | 自然吸気 | ターボ | ターボ |
MGU放出エネルギー(MJ/Lap) | 0 | 0 | <8 |
MGU放出パワー(kW) | 0 | 0 | <300 |
最低重量(kg) | 816 | 833 | 888 |
最大エネルギー(MJ/Lap) | 0,0 | 0,0 | 124.9 |
最大燃料流量(kg/h) | 115.0 | 115.0 | 80.0 |
最大燃料搭載量(kg) | tbd | tbd | 35.1 |
給油リストリクター径(mm) | tbd | tbd | 19.00 |