いよいよ来週末に迫った第87回ル・マン24時間レース。“トヨタが2連覇を達成できるか”など、レースそのものももちろん見逃せないが、関係者や耐久ファンの間では2020年秋にスタートする2020/21年シーズンでの、最高峰(現行LMP1)クラスの動向にも、大きな注目が集まっている。延び延びになってしまっている次期規定も、さすがに今回のル・マンでは発表されるとみられているからだ。
FIA/ACOフランス西部自動車が推し進めてきた“ハイパーカー規定”は、その発表から現在に至るまで、紆余曲折を経てきた。
トヨタは『GRスーパースポーツコンセプト』を発表していることなどからこの規定採用に前向きと考えられるが、興味があると噂されるアストンマーティン、マクラーレンなどからはいまだ明確なコミットメントがない状態のようだ。また、四輪駆動を必須条件としたいトヨタと、必ずしもそうでない他メーカーとの間で綱引きが行なわれているとも、漏れ伝わってくる。
どうやらル・マンウイークに入ってからもFIA/ACOとマニュファクチャラーの間での協議は続けられる模様で、それを受けて決勝前日、6月14日のACOのプレスカンファレンスにて、このシリーズの将来にとって重大な発表がなされると考えられる。
もし、多くの参加マニュファクチャラーが得られずにハイパーカー規定を諦めなければならない場合、そこには3つの選択肢が考えられる。
ひとつはアメリカのIMSAがトップカテゴリーに据えているDPi(デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル)規定を採用するという案だ。ふたつめは、現状も自動車メーカーの争いとなっているLM-GTEプロクラスをトップカテゴリーに押し上げるというもの。
最後はハイブリッド非搭載のLMP1プライベーターたちが総合優勝を争う、というものだ。これらの案は、それぞれ別のフランス人キーマンが“推して”いる案だという。
はたして、現在水面下でどんな綱引きが繰り広げられているのか。その“一端”は、6月7日発売の『ル・マン24時間完全ガイド2019』内にてレポートしている。