プラット・アンド・ミラーが運営するコルベット・レーシングの2019年ル・マン24時間レースは、63号車シボレー・コルベットC7.R(ヤン・マグヌッセン/アントニオ・ガルシア/マイク・ロッケンフェラー組)と64号車コルベット(オリバー・ギャビン/トミー・ミルナー/マルセル・ファスラー組)がいずれもクラッシュを喫す失意のレースとなった。
コルベット・レーシングにとって今大会は、2000年から開始したル・マン挑戦20年目となるメモリアルイヤー。加えて、正式アナウンスこそないものの、来季は今年7月に発表される新型コルベットをベースとする新レーシングモデルの導入が予想されており、現行車『C7.R』での“ラストル・マン”という声も多く聞こえてきたイベントだった。
そんな第87回ル・マン24時間において、コルベット陣営は64号車が予選11番手、63号車がセカンドロウの3番手を獲得。15日の15時にスタートを迎えると“激戦区”LM-GTE Proクラスの隊列のなかで、それぞれ順位を上げていく。
しかし、スタートから6時間を迎える直前に事件が起こる。サルト・サーキットのセクター3区間にあるコルベット・コーナーで、ファスラー駆る64号車と星野敏がドライブしていたデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSRが接触。アウト側にはじき出されたコルベットは勢いを落とせないままコンクリートウォールに激突することに。
このアクシデントでマシンは大破。64号車はその場でリタイアとなった。一方、幸いにもファスラーは無事であった。しかし、衝突Gが大きかったことからメディカルセンターでの診察後、念の為CTスキャンをとるために近隣の病院に搬送されている。
「この週末は僕たちが望んでいたものではなかった」と語るのは、3度のル・マンウイナーで64号車コルベットをドライブしたファスラー。
「僕ら3人がみな、ダブルスティントを予定していて、僕はあのラップでオリー(オリバー・ギャビン)に交代することになっていたんだ」
「だが、残念なことに僕はGTE Amのマシンにコース外にはじき出され後、かなりの衝撃でバリアに打ちつけられることになった。その瞬間に僕たちのレースは終わったんだ」
「しかし、このクラッシュによって、コルベットがこの分野でもっとも安全なGTカーであることを示したと思う。事故後もシステムはすべて動いていたし、僕自身も大丈夫だからね。けれど、早々にレースを終えたのはやっぱり悲しい。正直、この状況を飲み込みきれないよ」