WEC世界耐久選手権にマシンを送り込むフェラーリのテクニカルディレクター、フェルディナンド・カニーゾは、現時点でGTEクラス用車両に新型モデルを投入する予定はなく、現行の『フェラーリ488 GTE Evo』をさらにアップデートする可能性が高いと示唆。そして2019/20シーズンからは、LM-GTE AmクラスにもEvoキットの供給を開始している。
WECに向けては2016年から488のGTE版を投入してきたフェラーリは、初の年またぎシーズンとなった昨季の“スーパーシーズン”からその488 GTEのEvoモデルをProクラスに投入し、パフォーマンスの底上げを図ってきた。
さらに2019/20シーズンからは3年間の新たなホモロゲーションサイクルが始まり、車両公認の考え方とその動向が注目されていたが、カニーゾによれば「488 GTEが(新サイクルの期限となる)2021年終了時点まで走り続けることになるだろう」との見通しを語った。
「ホモロゲーションに関連する領域以外の部分で、今後も488 GTEのマシン開発を続けていくつもりだ」と、モータースポーツウェブサイトのSportscar365に答えたカニーゾ。
「確かに、488 GTEのマシン開発にこれ以上パフォーマンスアップが可能なマージンが残されていないと判断したときは、新たな進化、新型モデルの投入を考えなくてはならないだろう。しかし、我々はまだそこには到達していないと考えている」と続けるカニーゾ。
「現時点では、ニューモデルの投入を必要としていない。我々が最優先に考えているのは、部品のアッセンブルやパーツの信頼性の面だ。おそらく、この分野で我々のマシンがもっとも優れているとは言えない」
「そのため、それらを含めたすべての領域で本質的な弱点が克服できる可能性が残されている、何かを改善できる道があるかもしれない、ということだ」
ライバルのポルシェは、昨季までのサイクルで完全に新たな設計を持つ新型911 RSRを開発することを選択したが、アストンマーティンは2018年に投入したバンテージAMRを使用し、引き続き2シーズン目を戦う。