WEC世界耐久選手権の2019/2020年シーズン開幕戦シルバーストンが8月30日~9月1日、シルバーストン・サーキットで開催される。ディフェンディングチャンピオンとして新シーズンに挑むTOYOTA GAZOO Racingは、イギリスでのオープニングレースを皮切りに2020年6月に行われるル・マン24時間レースまでの全8ラウンドを、2台の新型トヨタTS050ハイブリッドで戦っていく。
7月末にスペインのカタロニア・サーキットで実施されたWEC公式テストでお披露目された新型TS050ハイブリッドのデビュー戦となるシルバーストン4時間レースは、同名マシンにとって4シーズン目、そして2020/21年からの新車両規定導入を前にしたLMP1規定ラストシーズンの開幕イベントだ。
昨シーズン、8戦中7戦で勝利を挙げ、チームタイトルとドライバーズタイトルの2冠を達成したトヨタ。チームはその2018/19年シーズンに唯一優勝を逃したシルバーストンで新しいシーズンの再スタートを切る。
2019/20年シーズンの布陣はすでにアナウンスされているように、7号車には開幕戦が母国レースとなるマイク・コンウェイと日本の小林可夢偉、そして“アルゼンチンの英雄”ホセ-マリア・ロペスという不動のトリオが乗り込む。
一方、チャンピオンカーには現王者のセバスチャン・ブエミと中嶋一貴のコンビに元トロロッソ・ホンダF1のドライバーでル・マンウイナー、2度のWEC王者でもあるブレンドン・ハートレーが起用されている。
そんなトヨタチームは今季もノンハイブリッドLMP1カーを走らせるプライベーターチームとLMP1クラスのタイトルをかけて戦うことになるが、ライバルとなるレベリオン・レーシングとチームLNT(ジネッタ)のマシンは、改訂されたレギュレーションによって昨年度以上のスピードを発揮することが予想される。
開幕戦のマシン最低重量はトヨタTS050ハイブリッドと比較して、ノンターボのレベリオンが94kg、ターボエンジンを搭載するジネッタが85kg軽い状態での出走が認められた。また、燃料使用量についてもノンハイブリッドマシンはそれぞれトヨタよりも多くの量を使用することが許可されている。
なお、今季は4時間レースとして行われる2019/20年WECシルバーストンの勝者には1905年に始まり、タツィオ・ヌヴォラーリやスターリング・モス、グラハム・ヒルといったレジェンドドライバーたちが勝ち取ってきた伝統のRAC(英国王立自動車クラブ)ツーリストトロフィーが授与される予定だ。
このトロフィーの獲得とともに新シーズンの開幕ダッシュを狙うチームは30日に行われる2回のプラクティス、31日のプラクティス3後の予選を戦い、翌月1日正午(日本時間20時)にスタートする決勝レースで勝利を目指す。
■村田久武チーム代表「トラブルを出さないことがこれまで以上に重要になる」
「TS050ハイブリッドに相応しい、有終の美を飾るための新たなシーズンが開幕します」と語るのは、今年8月にTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)の社長職を退いたものの、引き続きチーム代表を務める村田久武氏。
「ファンのみなさまのため、エキサイティングなレースを求め、TOYOTA GAZOO RacingはACOとともに努力を続けてきました」
「新LMP1レギュレーションにより、開幕戦シルバーストンは(ライバルと接近した)厳しいレースになると思います」
「トラブルを出さないことが今まで以上に重要になるので、昨シーズンの最終戦ル・マンを終えてからの短期間の間に、チーム一丸となってそこに集中し、この週末のために努力を重ねてきました」
「トラブルなく走り切り、優勝を目指します。簡単なレースになるとは思っていませんが、我々にとって新たな挑戦となる、今シーズンへの準備は万端です」とTS050ハイブリッドのラストシーズンに対して自信を覗かせた。