10月4日に開幕した2019/20年WEC世界耐久選手権第2戦富士。2回のフリープラクティスが行われた金曜日、TOYOTA GAZOO Racingは今季初導入された“サクセス・ハンディキャップ”の影響も受けたが、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタTS050ハイブリッドが両セッションでトップタイムを記録した一方、チームメイトのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車トヨタTS050ハイブリッドは、ハンデの影響が大きかった上、レースセッティングに専念したこともあり、タイムシートではクラス最下位となる場面もあった。
現行規定のLMP1カーラストイヤーとなる2019/20年のWEC。ル・マン連覇を遂げたTS050ハイブリッドにとっても、国内のWEC戦を戦うのはこれが最後となる。
そんなLMP1ではワークスチームとプライベーターの性能差を埋めるべく、これまでのEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)に加え、今シーズンからは前戦までに獲得したポイントを基にハンデを課す“サクセス・ハンディキャップ”も導入されており、この第2戦富士がサクセス・ハンディキャップ適用1戦目となった。
このサクセス・ハンディキャップは、コース1kmあたり+0.012秒とする係数とサーキットの全長、そしてクラス最下位の車両とのポイント差を掛けることによって、ラップあたりのハンディキャップ量を決定するもの。計算ではじき出されたハンデキャップ量をもとにハイブリッドシステムのブースト量や1周あたりに使用できる燃料量、1時間あたりの最大燃料流量、1スティントあたりの燃料量などが決められる。
第1戦シルバーストンを制した7号車トヨタは、チームLNTの6号車ジネッタG60-LT-P1・AERに対し、1周あたり1.4秒、8号車トヨタに対しては1周あたり0.4秒ほど遅くなるようにサクセス・ハンディキャップが課されている。
この第2戦が初導入となったサクセス・ハンディキャップに対応するべく、チームは チームは2台のマシンを使ってタイヤ性能の評価や摩耗度合いの確認、最適な空力バランス、ハイブリッドシステムのセットアップなどをチェック。最終的には8号車トヨタが1分25秒623のベストタイムを記録したが、このタイムは2015年に記録されたコースレコード、1分22秒639から3秒近く遅いものとなった。
その8号車トヨタよりも重いハンデを背負った7号車トヨタはタイムを追わずレースセットアップに専念。フリープラクティス1回目は3番手、フリープラクティス2回目はLMP1クラスでもっとも遅い5番手となった。