TOYOTA GAZOO Racingが参戦するWEC世界耐久選手権の第3戦上海4時間レースが11月8~10日、中国の上海国際サーキットで開催される。シルバーストンと富士の開幕2戦で、2度のワン・ツー・フィニッシュを達成したトヨタは、7号車と8号車の両トヨタTS050ハイブリッドが1周あたり最大2.74秒のハンディキャップを負うことになる今戦で、今季3勝目と上海ラウンド通算5勝目を狙う。
2019年9月から2020年6月にかけて全8戦で争われるWEC“シーズン8”。このシーズンからWECの最高峰クラス、LMP1には獲得ポイント差に応じて号車ごとに性能調整を課す“サクセス・ハンディキャップ”が導入され、前戦富士から適用されている。
そんな2019/20年シーズンの開幕戦シルバーストンで、トヨタはマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス組7号車がポール・トゥ・ウインを飾ると、僚友のセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー組8号車が2位表彰台を獲得。10月の第2戦富士では8号車がハンディキャップによるアドバンテージを生かしてポール・トゥ・ウインを達成し、7号車がこれに続いた。
この結果、まもなく迎える第3戦上海では7号車と8号車のポイント差はゼロに。すなわちチーム内においては同条件での戦いが繰り広げられることになる。
一方、ライバルとなるLMP1プライベーターのレベリオン・レーシングや、ジネッタを走らせるチームLNTと比較した場合には計算上、1周あたり1.85~2.74秒遅くなるように性能調整が行われる。このハンデキャップ量は富士戦のそれを上回るものだ。
しかし、チーム代表を務める村田久武は、上海にみる過去のマシンと現行車の進化を例に挙げながら、チーム3連勝と中国での5勝目に自信を覗かせる。
「上海では新生WECが始まった2012年以降、毎年レースが開催されていて、この間の効率と速さの向上には目を見張るものがあります。2012年と2018年を比べると、ラップ当たり37.5%燃料が低減されているにも関わらず、ラップタイムが5秒以上も速くなっていることに驚かされます」と村田代表。
「これはTOYOTA GAZOO Racingが技術の限界への挑戦を続けてきた賜物です。TS050ハイブリッドの最後の上海レースで、ファンの皆さまにワクワクするレースをお届けするとともに、さらなるマイルストーンを刻みたいと思います」
母国ラウンドからの連勝を狙う8号車の一貴は「予想されるノンハイブリッド勢の車両性能を考えると、すべての面において、ミスの許されない完璧な戦いが求められるでしょう。決勝レースへ向けて適切なセットアップを見出し、許容された出力エネルギーから最大限のパフォーマンスを引き出すべく、全力で挑む必要があります」とコメント。
また、富士では僚友に対するハンディキャップに苦しめられた7号車の可夢偉も「前戦はハンディキャップの面で消化不良のレースだっただけに、同じ条件で8号車と再び戦えるのが楽しみです」と語り、「新たな挑戦となることはもちろん分かっています。僕たちはこれまでもTS050ハイブリッドで、限られた燃料消費量から多くのパフォーマンスを引き出して戦ってきました。このクルマにとって最後の中国戦となる次戦も、全力で勝利を目指します」と意気込む。
なお、今季のWEC上海は過去7回行われた6時間レースからフォーマットが変更され、初めて4時間で争われることになる。これに合わせてスタート時刻も10日(日)正午となった。この他、レースウイークでは8日(金)に90分のフリープラクティスが2回、9日(土)には60分のプラクティスと公式予選の走行セッションが予定されている。
TOYOTA GAZOO RacingドライバーのWEC上海プレビューコメントは以下のとおり。