WEC世界耐久選手権の2020/2021年シーズンに向けた規則が12月4日、フランス・パリで開かれた世界モータースポーツ評議会(WMSC)で確認され、LMP2カーのエンジン出力が従来より40馬力(30kW)削減されることが決定した。また、同年シーズンより、タイヤサプライヤーが単一化されることも合わせてアナウンスされている。
LMP2は、LMP1クラスをトップカテゴリーとする現行規定において、スピード面では上から2番目に位置するクラスだ。
今回WMSCで確認された変更はそんなLMP2クラスのマシンと、2020/21年シーズンからLMP1に替わって登場するル・マン・ハイパーカークラスのクルマが「コース上で共存することを促進する」ために行われるもの。
ハイパーカーのパフォーマンスがル・マンのサルト・サーキット1周を3分30秒で周るペースとし、現在のLMP1カーよりもLMP2マシンのラップタイムに近くなるように設定されているため、ふたつの異なるクラスの間でラップタイムが重ならないようにする必要があるのだ。
現在、LMP2カーはギブソン製4.5リットルV8自然吸気エンジンによって約600馬力を発揮しているが、2020/21年シーズン以降は560馬力に制限されることになる。
なお、この規則は2022年からELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでも導入される予定だが、AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズや、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で同様の調整が行われるか否かは、現時点で明らかになっていない。
■シリーズ唯一の“タイヤ戦争”が消滅へ
LMP2クラスは、4つのクラスがあるWECのカテゴリー内で唯一、複数のサプライヤーがタイヤを供給している“タイヤ戦争”の舞台だ。しかし、2020年に始まる新しいシーズンでは当該カテゴリーにおいてもコントロールタイヤの導入されることが決定した。
現在行われている2019/20年シーズンは、ミシュランとグッドイヤーというふたつの欧米タイヤメーカーが競い合っており、第3戦終了時点ではミシュランの2勝1敗となっている。
ライバルをリードしているミシュランは、LMP1とLM-GTE Pro、LM-GTE Amクラスで単一サプライヤーを務めながらLMP2クラスでも5チームにタイヤを供給中だ。対するグッドイヤーは、今季からダンロップと入れ替わるかたちでシリーズへの参入を果たし、3チームを支援。第3戦上海では初優勝をワン・ツー・フィニッシュで飾っている。
ミシュランはすでにハイパーカークラスでの単一タイヤサプライヤーとして確認されているが、新シーズンのLMP2でどのブランドが採用されるのかは分かっていない。