WEC世界耐久選手権やル・マン24時間レースを運営するACOフランス西部自動車クラブのスポーティングディレクター、ビンセント・ボーメニルは2020年導入の新最上位クラス“ハイパーカー”への参戦を認めるかどうかはFIAエンデュランスコミッションに最終的な判断が委ねられるとし、プライベーターの参戦が認められる可能性もあると示唆した。
現行のLMP1に代わる形で導入されるハイパーカークラスについては、12月4日に行われたWMSC世界モータースポーツ評議会(ワールド・モータースポーツ・カウンシル)で「自動車メーカーブランドの下でホモロゲーションを受けた車両を用いなければならない」と規定することが決定されている。
これを受け、プライベートチームが独自に開発し、自動車メーカーのブランドに属さない車両ではハイパーカークラスに参戦できないのではという見方も出ていた。
しかしACOのボーメニルは、先述の規定は必ず遵守する必要があるわけではないとコメント。エントリーを認めるかは、FIAエンデュランス・コミッションが「ケース・バイ・ケース」で判断するとした。
「“自動車メーカーのブランド”というのは、例えばピザや携帯電話のブランド名では駄目ということだ。自動車を製造しているブランドでなければならないという意味だ」とボーメニル。
「ハイパーカー参戦への参戦を認める際、市販車の生産台数に関する基準などを定めるつもりもない。今回の規定は、ハイパーカークラスへの参入を制限するものではなく、むしろ促すためのものなんだ」
「(スクーデリア・キャメロン・)グリッケンハウスを例にすれば、彼らもいくつか市販車を手掛けている。そして我々は生産台数の関する基準を設けて問題を作り出すつもりはないから、あとはエンデュランス・コミッションの裁量に委ねられる」
またボーメニルはオリジナルマシンで参戦を検討しているバイコレス・レーシングについても、市販車開発の方針を明かしていることからエントリーが認められる可能性が高いだろうと示唆している。
「バイコレスはレーシング活動と並行して市販車を製造していく方針を示しており、いずれバイコレスブランドのクルマが販売されるだろう。だから、あとはエンデュランス・コミッションを納得させられるだけのものが用意できるかどうかだ」
「我々は市販車の世界でブランド力を持つクルマがハイパーカーを戦ってほしいと思っている。だから、もしフェラーリやポルシェ、マセラティといったブランドだけでなく、ケータハムのような小さな会社も参戦してくれたら喜んで歓迎する。彼らのクルマはどれも夢を与えてくれる存在だからね」
「仮に我々がレギュレーションに『年間登録台数が一定以上のブランドで……』といったことを定めてしまえば、水面下で進んでいるかもしれない多くのプロジェクトを中止に追い込むことになる。そういった事態だけは避けたい」