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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2019.12.26 17:23
更新日: 2020.02.14 14:34

WEC:2022/23年参戦のプジョー、オレカとの提携も模索か。2022年ル・マン参戦の可能性も

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ル・マン/WEC | WEC:2022/23年参戦のプジョー、オレカとの提携も模索か。2022年ル・マン参戦の可能性も

 プジョーが突如行なった「ル・マン・ハイパーカー(LMH)で2022/23年シーズンのWECに参戦する」という発表は世界に衝撃を与えた。プジョーのル・マン復帰は長年に渡り噂されてきたが、WEC世界耐久選手権を運営するFIAとACOフランス西部自動車クラブですらこれほど早い復帰を予期しておらず、今回の発表は衝撃的だった。

 最初の発表後もプジョーは世界に驚きを提供し続けている。まずは、イギリスに拠点を置くスイス系チームのレベリオン・レーシングとタッグを組むことを明らかにした。提携の具体的な内容は不明だが、チームとマニュファクチャラーの両者にとって可能性は広範囲に渡りそうだ。 

 レベリオンには経験豊かで優秀なイギリス人メカニックとエンジニアが数多く在籍しているが、PSAモータースポーツのボス、ジャン‐マルク・フィノーによると、プジョーのワークスチームは主にフランス人スタッフが中心になるという。

 WECバーレーン戦を訪れていたフィノーは「(シトロエンの)WRCプログラムが終了した現在、我々は経験豊富な非常に優れたメカニックを多く抱えているが、まずは耐久レースを戦うために彼らをトレーニングさせる必要がある」と言及している。

 つまり、プジョーのフランス人スタッフのトレーニングの場が現在WECに参戦しているレベリオン・レーシングになる。加えて、レベリオンのLMP1オレカシャシーを使用してハイパーカー用パーツとエンジンの開発プロジェクトが進められ、ハードとソフト両面でレベリオンと共同プロジェクトを張ることになる。

 オレカ自体もこのプジョーのプロジェクトに関わっていく可能性が非常に高い。オレカはプジョーと長年付き合いがあり、過去にはLMP1仕様のプジョー908でプライベーターとして走らせ、セブリング12時間を制したこともある。

 しかも、オレカがトヨタとの間に結んでいる現行の契約が2019/20年シーズンを最後に終了する見とおしだ。とはいっても、プジョーの新しいプロジェクトがレベリオンやオレカの施設でオペレーションが行なわれることはなく、パリにあるプジョースポールの施設が新たな拠点になることは間違いない。

 プジョーがもたらす次なる驚きは、正式復帰前となる2022年のル・マン24時間レースにワークスチームとしていち早く参戦するかもしれないというものだ。ただし、これはあくまでパイパーカーの開発が順調に進めばという条件付きとなる。

「ニューマシンの初走行は2021年中旬の予定だが、正確な日程はお伝えできない」とフィノーは言う。

「2022年にはマシンが完成すると発表してはいるが、それが正確にいつになるのかは明言していない。正式復帰前にレースができる可能性を模索してはいるが、決断するのはかなりリスキーになるので容易ではない」

 マシンの技術的な詳細についても、プジョーは沈黙を守ったままだ。唯一判明しているのは、フロントをモーターで駆動し、車体後方にエンジンを搭載したハイブリッド車ということだけだ。

すでに参戦表明をしているアストンマーティンが市販モデルをベースとする意向であるのに対して、プジョーは純粋なプロトタイプとしてハイパーカーを開発していくという。

 また、プジョーのWEC参戦は長期に渡るものになりそうで、それには23/24年シーズンからは水素を燃料としたハイパーカーが導入されるという噂が深く関わっていそうだ。

 とにもかくにも、プジョーはトヨタとアストンマーティンに続いてLMH参入を表明した3社目のメーカーとなった。アメリカに本拠を置くグリッケンハウスや、支援してくれる自動車メーカーを探しているバイコレスも参戦を目指している。

LMHはいまだ全体像がつかみにくいカテゴリーだが、モータースポーツ界の今後を占ううえでは無視できないものであることはたしかだ。

かつてプジョーのデザイナーを務めたジェラール・ウォルターが立ち上げた、ウォルター・レーシングが開発していたマシン。プジョーのパワートレインを使用してル・マン参戦を目指していたが、これを使えば2021年のル・マン復帰も?
かつてプジョーのデザイナーを務めたジェラール・ウォルターが立ち上げた、ウォルター・レーシングが開発していたマシン。プジョーのパワートレインを使用してル・マン参戦を目指していたが、これを使えば2021年のル・マン復帰も?


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