アキュラ・チーム・ペンスキーの6号車アキュラARX-05をファン・パブロ・モントーヤ、シモン・パジェノーとともにシェアして、1月25~26日かけて行われた2020年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間レースに挑んだデイン・キャメロンは「信じられいなほど、暴力的な」振動に苦しめられ、まるで「ペイントシェーカーの中にいるよう」に感じたと語った。
2019年シーズンのDPiクラスシリーズチャンピオンであるキャメロンとモントーヤは、助っ人でインディ500優勝ドライバーであるパジェノーとの3名体制で今戦にエントリー。予選2番手からスタートし、決勝では総合4位でチェッカーを受けた。
キャメロンによると夜間、モントーヤが乗車していた際にクルマの右フロントの一部が損傷したことで、オレカ製のプロトタイプカーが「ポゴスティック(遊具のホッピング)のように上下に飛び跳ねる」状況に陥ったという。
接触とその後に発生したハンドリングの問題によって6号車アキュラはペースを上げられず。優勝したウェイン・テイラー・レーシング(WTR)が運営するコニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車キャデラックから5周遅れの総合4位でレースを終えることになった。
「ファン(・パブロ・モントーヤ)は夜のある時点で少し接触していた。それは右フロントのエアロダイナミクスとサスペンションに影響を与えた」とSportscar365に語ったキャメロン。
「その後は接触前と同じようにドライブすることが難しくなった。特にバンク区間ではかなりひどい(地面からの)打撃を受けていたんだ」
「1日のほとんどを座っているにはとても不愉快な場所だったが、レースのスタート時点ではかなりクルマの状態は良かっただけに少し残念だったよ」
キャメロンは、チームが損傷したクルマのハンドリングを改善させようと何度も試みたが、時にはそれがポーポイジングを引き起こし何度か短いスティントをもたらしたと述べた。
アキュラ・チーム・ペンスキーはレースの後半、6号車アキュラのフロントノーズを少なくとも2回交換している。
「正直に言って、そのときは皆が少し動揺していて、少しばかり悲惨な状況だった。基本的にはペンキを塗る時に使う“ペイントシェーカー”の中にいるようなものだったよ」
「僕たちは問題の原因を正確に把握できていなかったため、あらゆる手段を試して振動を抑えようとした。ある時点ではなにかを試してみて、それが間違っていたとき、それは時として信じられないほど暴力的だった……」
「(クルマが壊れる前まで)僕たちのペースはそれほど悪くなかったと思う。だから、ダメージがこのイベントでのペースを傷つけたことには少しがっかりしている」
「だが、それがなくても今日の10号車キャデラックを破ることはできなかったと思う」
■55号車マツダとの交錯がなければ、77号車マツダと争えたはず
アキュラ・チーム・ペンスキーの姉妹車7号車アキュラARX-05はレース序盤、総合3番手を争うなかでハリー・ティンクネル駆るマツダ・チームヨーストの55号車マツダRT24-Pと接触。マシンは姿勢を乱しバスストップ・シケインのタイヤバリアに叩きつけられた。その結果、7号車は約40分に渡ってガレージでの修復作業を余儀なくされた。
7号車のエースドライバーであるリッキー・テイラーはSportscar365に対し、アクシデントが起こらなければレースで2位となった77号車マツダRT24-Pと戦える可能性があったと語った。
「本当に残念だった。僕とアレックス(・ロッシ)はガレージで(マシンの修復を待っている間に)今夜、気温が下がればクルマはとても速くなるだろうと考えていた」
「その予想どおり、コースに戻ってきたクルマは本当に素晴らしかった! それは僕がデイトナでドライブしたなかで、最高にバランスのとれたクルマのひとつだった」
■小林可夢偉組10号車キャデラックは「独自のリーグ」にいた
しかしキャメロンと同様に、テイラーもまたWTRの10号車キャデラックが披露した「信じられないほどのペース」の前では、彼らと勝利を争うことはできなかっただろうと白旗を上げる。
「10号車は他のキャデラックと比較してもひときわ優れており、まるで独自リーグにいるようだった。信じられないよ」とテイラー。
また、キャメロンは「今日の10号車キャデラックを止められる手段を持っていた人はいないと思う。彼らは明らかに予選時と比べて、クルマを良い状態に仕上げてきた」と付け加えた。
「WTRは信じられないほど良いペースを持ちながら、我々よりも長いスティントを走ることができた。レースに勝つために必要なものをすべて持っていたんだ」