TOYOTA GAZOO RacingのWECチャレンジプログラムのドライバーとして、ハイクラス・レーシングから2019/2020シーズンのWEC世界耐久選手権のLMP2クラスに参戦する山下健太。これまでの全5戦を完走し、ドライバーズランキング10位という成績を残している。新型コロナウイルス感染拡大の影響でシリーズは流動的だが、現段階で残り3戦を予定している2019/2020シーズンのWEC、そしてヨーロッパでの生活について話を聞いた。
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■ジェントルマンドライバーと表彰台を目指す
山下は2014〜16年に全日本F3選手権を戦い、2016年にチャンピオンを獲得。2017年から全日本スーパーフォーミュラ選手権に、2018年からはスーパーGT GT500クラスに挑戦。2019年はスーパーフォーミュラで初優勝を遂げたほか、スーパーGTでは大嶋和也とともにチャンピオンを獲得。日本のトップドライバーとして、2019/2020シーズンのWECに挑戦を開始した。
所属するのは2019/2020シーズンからLMP2クラスに初参戦したデンマークのハイクラス・レーシングだが、最高位は第2戦富士の4位と、山下が所属しているにも関わらずまだ表彰台はない。
山下は「目標は表彰台です」というが、「言いわけをしてはいけないのですが、チームメイトのひとりはブロンズのジェントルマンなので、総合的に順位を狙うのは難しいです」といまだ目標が達成できていない理由を語った。
チームメイトのひとり、マーク・パターソンはFIAドライバーカテゴライゼーションでブロンズとなる68歳のジェントルマンドライバーだ。LMP2はシルバーまたはブロンズのドライバーを最低1名起用しなければならないが、LMP2上位はシルバーを起用し、ブロンズのドライバーはいない。レースペースがカギとなる耐久レースを戦ううえで不利にも思える。
ただ、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催された第5戦ローン・スター・ル・マンからタイヤをグッドイヤーからミシュランに変更。さらに担当エンジニアも変更し、結果はクラス7位/総合10位だったものの、チームは次戦に向け手応えを感じたという。
「毎回自分が担当する第1スティントでは、上位勢と変わらないペースで走ることができているので、そこでまわりと戦って、しっかりと自分をアピールできればと思っています。そしてそのうえで、表彰台に乗ることができれば最高ですね」
上位チームと“同じ土俵”で戦うことは難しいかもしれないが、自らの速さでチームを牽引し、ジェントルマンとともに表彰台に乗るという結果をみせることで、自身の活躍ぶりを感じてほしいと山下。GT3レースに参戦するヨーロッパのトップドライバーなら誰もがこなす“仕事”だけに、目標達成を期待したい。