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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2020.04.18 15:26
更新日: 2020.04.18 15:28

VLNニュルブルクリンク耐久シリーズが強引に6月開幕目指す!? 罰金刑や隔離の障害も

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ル・マン/WEC | VLNニュルブルクリンク耐久シリーズが強引に6月開幕目指す!? 罰金刑や隔離の障害も

 4月15日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が記者会見において、新型コロナウイルス感染拡大防止のため8月31日までの大型イベント開催禁止継続を発表した。しかしその翌日の4月16日、ニュルブルクリンクを舞台に争われるVLNニュルブルクリンク耐久シリーズの主催者が「6月27日に予定どおり開幕するコンセプトで尽力している」とSNS上で声明を発表した。ただ、これには多くのハードルがありそうだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、モータースポーツ界では多くのシリーズが序盤戦の延期や中止を強いられているが、ドイツでは早期開幕を目指したカレンダーを発表していた。ただ、4月15日にドイツとベルギーでは、8月31日までの大型イベント開催禁止が発表され、関係するオーガナイザーはカレンダーの再構築を強いられている。

 そんななかで発表されたVLNの声明だが、その裏には9月24~27日に予定されているニュルブルクリンク24時間レース開催を実現するべく、その準備レースとしてのVLNをなんとしてでも開催をしたいという意向が見え隠れする。ただその意志は理解できるものの、いくつも大きなハードルがありそうだ。

 強引に6月に開催した場合でも、プレシーズンテストの際と同様にパドックやスタンドへのファンの立ち入りを禁止する方向で意見交換がされていると考えられるものの、ニュル24時間レース前のVLNには160台前後が参加する。ニュルのピットやパドックは他のサーキットよりもやや広い作りとなっているとはいえ、1ピット内に4~6台が入庫するため、ピットの出入口の扉を常時全開にするとしても、数多くのチーム関係者やドライバーでピット内、前後のエリアには人が多く集まることから、もしも感染者がいた場合にはクラスター発生の危険性が高まる。

 また、ニュルがあるライン・プファルツ州の新型コロナウイルス関連の罰金刑には、イベントの参加禁止をはじめ、多くの項目が該当することから、もしも州警察が巡視のためにサーキットを訪れた場合には、かなりの人数が罰金を科される可能性も出てくる。

 さらに州は観光客用の宿泊施設の稼働も認めておらず、もしも州の許可を得ずに顧客に宿泊施設やキャンプ場等を提供した場合は、ライン・プファルツ州では宿泊施設に2500~5000ユーロ(約30~60万円)の罰金が科される。

 また旅行禁止令も出ているため、旅行者にも250~1000ユーロ(約3~12万円)の罰金刑が科されることになってしまう。果たして参加チームの宿泊施設が確保できるのか、という問題も出てくるほか、アマチュアチームやドライバーの“趣味”として“観光”目的と捉えられるのか、プロチームの“仕事”としてのレース参戦の線引きを市町村や州・国、警察の関係者がどう判断をするのか、という点でも容易ではない。

 VLNには近隣諸国から参戦するチームやドライバーも多いが、引き続き国境が閉鎖されているため、実質的にはそれらの外国人の参加は不可能となる。また、海外から飛行機でドイツに入国するには2週間の隔離が義務づけられていることから、日本やアメリカ等、海外からどうしても参加したい参戦希望者は、2週間以上の時間と費用の余裕を持って渡航を計画しなければならないだろう。

「感染防止と安全は絶対的に、何よりも優先すべき点だ」とVLN主催者側は強調する。今後の新型コロナウイルス感染者数の移行や情勢によって、緩和策が取られる可能性もなきにしもあらずだが、もしも実際に6月に予定通りに開催を目指すのであれば、市町村や州、国の各機関の承諾を得る等、解決すべき問題が山積みとなりそうだ。6月ならばすでに約2カ月後に迫るとあり、早急な対応が迫られるだけに、今後の動向や進展に注目したい。


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