Wレーシングチーム(WRT)のビンセント・ボッセ代表は、アウディが2020年限りでDTMドイツ・ツーリングカー選手権を去ることを決めたことを受けて、ベルギーのチームが“LMDh”を将来のレースオプションのひとつに検討していることを明かし「興味がある」と述べた。
長年に渡ってアウディ陣営の一角としてGT3レースを戦うWRT。同チームは昨年、DTMに初挑戦し、ここでも他のアウディチームとともにRS5 DTMを走らせた。しかし4月27日に、ドイツメーカーが2021年以降のシリーズ参戦取りやめをアナウンスしたことで、プログラムの見直しを迫られることになった。
ボッセはEndurance-Infoのインタビューに対して、IMSAとACOフランス西部自動車クラブが合意した新しいグローバルプラットフォームとなるLMDhが、スパ24時間やニュルブルクリンク24時間、バサースト12時間などのGT3レースで多くの優勝を飾っているWRTにとって関心を抱かせるものだと語った。
しかし、数週間以内に予想されている同規定の技術的な詳細のアナウンスと、自動車メーカーの参加が明らかになるまで、WRTは正式にプログラムの移行ができないと強調した。
「以前からLMdh(の評価)に取り組んでいた」とボッセは説明する。
「もちろん、(レギュレーションの)完全な解決を待たなければならない。新しいプロトタイプカー規定は、実際にはGT3のコピーであり、成功すると考えるだけの充分な理由がある。ル・マン、デイトナ、セブリングでレースができる可能性があるのは素晴らしいことだ」
「このプラットフォームは、さまざまなメーカーにとって魅力だ。WRTも興味を持っている。しかし、その詳細を知るためには今は待つ必要があるんだ」
ボッセは2022年に登場する予定の新プラットフォームは、プラベーターチームが関与する点でGT3と同じように動きがとれるようになると考えている。これを裏付けるように多くのチームがLMDhを注視しており、その中にはWEC世界耐久選手権のLMP2クラスを戦うハイクラス・レーシングや、シグナテックも含まれる。
「これはIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジに少し似ているが、LMDhではプロトタイプを使って世界中を回ることになるだろう」とボッセ。
「WRTのアイディアは、その中の主要レースでファクトリーサポート付きのクルマを走らせることだ」
「モータースポーツの将来は、自動車メーカーが100%出資するワークスプログラムに向かうよりも、ハイエンドのカスタマー間競争に向かう傾向にあると思う」